外国人に教わるパターンだけではない。その逆もある。鹿島アントラーズで強い存在感を長らく発揮し続けたのが、小笠原満男である。黄金世代の一人として名を馳せ、高卒3年目の2000年にレギュラーに定着してJリーグ史上初の三冠獲得に貢献。その後、中盤の核として類まれなサッカーセンスとともにリーダーシップも発揮した。

 そして2003年4月19日の東京ヴェルディ戦。ブラジル代表の経験も持っていた当時32歳の快速FWエウレルを、24歳の小笠原が試合中に胸を小突いて突き飛ばす“事件”が勃発した。だが、原因はエウレル。チームプレーが必要なシチュエーションにも関わらず、エウレルが自分勝手な個人プレーを続けたことに対しての小笠原の“怒り”だった。

 その他、日本国籍を取得したために外国人とは言えないが、2008年の11月30日、浦和レッズのFWエスクデロとGK都築龍太が、ガンバ大阪相手に0対1で敗戦し、リーグ優勝の可能性が消滅した直後に、両者が口論の末にエキサイトし、殴り合い寸前のつかみ合いの喧嘩に発展したこともあった。他のチームメイトが必死で静止して事なきを得たが、後味は非常に悪かった。

 勝敗が大事なプロスポーツにおいて、血の気が多いのは決して悪いことではなく、時には必要な“怒り”はあることは確かだが、やはり味方同士の無用な争いはサポーターも見たくない。適切なソーシャルディスタンスが重要になるということだろう。