YouTuberとして生計を立てている同区の28歳男性は「人が少ないから台を選びやすいし、さすがコロナという感じ」と臆面なく話す。緊急事態宣言の発令を受け、日課だったパチンコ通いを、週2回に減らしたという。

「人が密集しているところには行きたくないんですけどね。趣味なので、すぐにはやめられない。長くいられて時間をつぶせるし、ストレス解消になる。もしかしたら大金が手に入るかも、という夢もある」

 密集はしているが、3密にはあたらないと主張する。

「(店内は)空気清浄機があるようだから、空気もきれい。みんなマスクしていて、しゃべることもない。インフルと同じで、気をつけても、かかる人はかかる。ずっと家の中にいたところで、その後に収束していなければ、意味がない。みんながみんな自粛して収まるならいいけれど、結局みんな仕事に出ている。むしろ電車のほうが危ないと思う」

 同区のパチスロ店の従業員に話を聞いたところ、「(緊急事態宣言の翌日の)4月8日以降、客が増えて、売り上げも伸びている。他の店が閉まったことで、客が流れてきているのでは」と話した。休業要請の渦中であるが、「個人店なので、十分な補償がなければ閉められない」と事情を話す。

 東京都以外はどうか。千葉県の船橋市で取材をすると、総武線の船橋駅近くのパチンコ店が林立するエリアでは、すべての店に臨時休業の張り紙が貼られていた。都と比べると、開いている店舗自体は少ない印象を受けた。だが、隣駅にある大型のパチンコ店は開業しており、夕方には仕事帰りと思しきスーツ姿の男性たちが次々と吸い込まれていた。

 サラリーマンだけではない。自転車でやってくる年配の女性や、学生らしき若者の姿もある。

 目視で確認したところ、駐車場には自転車約40台、バイク約15台が止められていたほか、70台ほどの車が、立体駐車場の上の階までぎっしり埋まっていた。

 店内をのぞいてみたが、少なくとも数百人の客が間隔をとらず、必死に玉を追いかけていた。全席埋まっている列もある。

 店の前で20人ほどに声をかけたが、大半が回答を避け、逃げるように去っていく。「タバコを吸いに来ただけ」「見にきただけ」と答える人も多かった。

 同市に住む70代男性も、「気晴らし。他の店は閉まってて、ここが開いてたから来た。マスクをしたままだし、人と話すこともないから大丈夫」とだけ話した。

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パチンコをする「言い訳」は依存症の兆候