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地理学で納得! イタリアでコロナ感染が拡大した理由

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北イタリア、アルプス山脈の麓にある町コルチナ・ダンペッツオ。スキーリゾートで有名。アドリア海岸の観光都市ベネチアとは、車で約2時間の距離(写真:著者撮影)

北イタリア、アルプス山脈の麓にある町コルチナ・ダンペッツオ。スキーリゾートで有名。アドリア海岸の観光都市ベネチアとは、車で約2時間の距離(写真:著者撮影)

 今回の新型コロナウイルスによる感染症は、中国で発生しイタリアへ飛び火した。そしてヨーロッパへ拡大。なぜ、このような広がり方をしたのか。『リアルな今がわかる 日本と世界の地理(だからわかるシリーズ)』の著者・砂崎良さんが、地理学を背景にその理由を解説する。

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■中国から北イタリアへ 背景にあるのは経済

 ひとつめのポイントは、北イタリアと中国との間に、強い経済的つながりがあったことである。経済的な関わりが深いほど、人の行き来が活発となり、ウイルスが運ばれる機会も多くなる。

 ではなぜ、北イタリアと中国には接点があったのか。これは両地域の産業に理由がある。イタリアといえば、ファッション産業の衣服や皮革製品、高級家具など、著名なブランド製品が思い出されるのではないだろうか。イタリア、特にその北部は、伝統につちかわれた高品質の手工業品で名高い。そしてこの高級ブランドが、経済成長著しく富裕層が増大している中国で、近年大人気なのである。

 魚心あれば水心。北イタリアの各ブランドも、中国人購買層の好みをリサーチし、赤色や金の金具など、彼らの嗜好に応じた品を開発している。当然、このような経済活動の背後には、バイヤーや販売員など関係者の行き来が起きる。近年は中国企業がイタリアに事業所や工場を設立、そこで働く中国人労働者も多い。このような事情で、北イタリアには多くの中国人が居住していた。

 さらに、中華系の人々には旧正月に帰省する習慣がある。これがふたつめのポイントである。2020年の旧正月は1月25日であり、その前後、北イタリア在住の中国人が帰国し、またイタリアへ戻る動きが起きた。中国疾病対策センターによると、2020年2月11日までに新型コロナウイルス感染症と診断された約44000人のうち、軽症例が80%以上(厚生労働省ホームページ 新型コロナウイルスに関するQ&A 令和2年4月8日版 問34より)。またPCR検査で陽性となっても無症状の人もいる。そのため、人の移動にともない検疫をスルーしてウイルスも移動。イタリアで感染が拡大することとなった。


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