女王として新年を迎えた鈴木は、渋野に比べると五輪への想いを語ることは少ないが、今年の東京オリンピックは、一生に一度あるかないかの地元開催。アスリートとしてまたとない大舞台でのプレーを目指すことは当然なわけで、渋野同様、いつも以上にシーズン前半戦からエンジン全開でツアーに臨んでくるだろう。

 特に昨季は3連勝を含め7勝を挙げ2年ぶりの賞金女王に返り咲いたにも関わらず、ツアーの主役と話題は渋野が独占した感は否めない。今季は女王のプライドにかけて開幕から飛ばしてくるはずで、2020年のツアーは開幕から熾烈なデッドヒートが見られそうだ。

 そんな五輪出場を視野に入れて戦う2人の間に割って入りそうなのが、今のツアーを席巻する「黄金世代」に続く2000年生まれの「プラチナ世代」だ。

 富士通レディースで女子ゴルフ史上7人目となるアマチュア優勝しプロ転向した古江彩佳を筆頭に、安田祐香、西村優菜、吉田優利らが今季からツアーに本格参戦。アマチュアとして実績がありツアーでのプレー経験がある後者3人はそれぞれ昨年のプロテストを順調に合格しており、この中から新たなヒロインが生まれても全く不思議ではない。

 特に安田は、16歳で日本女子アマを制すと昨年新設されたオーガスタナショナル女子アマでは3位タイとなり、同年のニトリレディスでは単独4位となるなどスーパールーキーとして注目度はピカイチ。西村はアマチュア時代の実績も十分だが、昨年は大東建託・いい部屋ネットレディスで単独8位となった他、古江が制した富士通レディースで10位タイとトップ10入りを果たした。そして吉田は2018年に日本女子アマと日本ジュニアで優勝しアマ2冠を達成した逸材だ。

 昨年は黄金世代がハイレベルなプレーを見せつけ、30歳前後の実績あるプレーヤー数名がツアーからの撤退を表明するなど一層の世代交代を印象付けたが、ここに彼女たちプラチナ世代が加わることで、ツアーの新陳代謝により拍車がかかりそうだ。

 昨年の1月時点で渋野を知るゴルフファンは多くなかったはず。ということは、来年の今頃、この中からツアーを牽引するようなスターが誕生する可能性は十分だ。渋野や鈴木の五輪に向けた争いも楽しみだが、今季は次世代の躍進からも目が離せないだろう。