また、共通テストは8種類の民間試験の中から受けるものを選択し、そこから2つ、自分のIDを書いて試験を受けて、その結果を活用するように予定されていました。そのシステムなら、できるだけ多くの種類の試験を受けて、自分と相性のいい民間試験をみつけることが最重要です。

 さらにIDを書く正式な試験までに、何度も何度もテストを受けて練習し対策をとることで、全く点数が違ってきます。そして民間企業は、当然ですが公的なものではなく、あくまでお金を稼ぐことが第一の目的であるからこそ「民間」企業なわけです。ボランティアではないのですから、儲かる場所で集中的に試験が開催されるのは至極当然の流れでしょう。

 ですから、都会では試験が頻繁に行われるというのに、地方の田舎ではあまり行われない、という受験生内での不平等が生じることも最初から予想できたことです。試験会場に行くために遠くまで電車を乗り継いで行かなくてはならない人も出てくるし、試験の料金は1度に数万円かかります。

 つまり、住んでいる土地、家庭の金銭的格差により、試験を受けられる回数がまるで異なるようになってしまうわけで、点数に対する公平性が失われているといえます。

「問題点があるから延期した」ということは、逆にいえば、「問題点を解決できたといえるまでは実施できない」ということです。そしてこれら二つの問題点は、決して解決できるものではありません。論理的に考えると、今回の延期により、「民間企業の参入は今後不可能」という状態になったといえるのではないでしょうか。

 もし本当に24年度から実施するのならば、「なぜ20年度には行わなかったのに24年度では実施できるのか」という問いに答えられるレベルまで、現在の(解決不可能な)問題を取り除いていなければならないからです。
しかし、そもそも論として、試験で英語を話したり書いたりする問題を採り入れることが、グローバル化につながるものでしょうか? 

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