■サクラは目覚めたがもうひと波乱ある!?

「偽装の夫婦」や「派遣占い師アタル」など、安定した視聴率を獲得したドラマ作品を手掛けている遊川。その脚本の見事さが、視聴者を惹きつけていることは間違いないようだ。

「今作品はタイトル通り建設会社に入った同期の若者たちの、サラリーマンお仕事物語が基本にある。ドラマの中盤までは毎回、病床にいるサクラに同期のメンバーが語りかける形で過去の仕事ぶりを振り返っていきます。この演出のおかげで、どんなにいい思い出があっても最後はちょっぴり切なくなってしまうようにできている。また毎回、入社○年目の物語かが示されていることで、多くのサラリーマンが自分たちの仕事と照らし合わせて感じることができる。要は“社会人あるある”が満載なんです。主人公や同期が苦悩したりヘコんだり、時には不幸になったりと辛酸を嘗めつつ成長していく姿が共感を呼んでいるのでは」(放送作家)

 ドラマウォッチャーの中村裕一氏は、このドラマを支える高畑の魅力についてこう分析する。

「遊川の脚本ということで、ありきたりではなく、ひと筋縄では行かないドラマになることは最初から予想されていました。ベッドで昏睡状態の主人公をサブキャストが取り囲み、これまでの出来事をフラッシュバックで振り返っていくという、ある意味、アクロバティックなストーリー展開は、演技の下手な俳優だったら到底支えきれないでしょう。高畑はそのプレッシャーを見事にはねのけ、しっかりと視聴者を惹きつけた。『女王の教室』の天海祐希、『家政婦のミタ』の松嶋菜々子、『ハケン占い師アタル』の杉咲花と、遊川ドラマ特有の感情をほとんど表に出さない、鉄面皮のようなサクラのキャラクターであそこまでドラマをリードできるのは、ひとえに彼女の表現力、存在感の成せる技。これでまた新たな代表作を手にしたと言えるでしょう。第9話でついにサクラが目覚めましたが、まだまだもう一波乱ありそうで、最終回は視聴率15%越えも十分狙えると思います」

 気がつけば「ドクターX」に次ぐ視聴率となった「同期のサクラ」。物語はすでに終盤だが、huluなどでは振り返り視聴が可能。クライマックスに向けて今からのっかっておくといいかもしれない。(今市新之助)