ワンツーフィニッシュを決めたマックス・フェルスタッペン(左)とピエール・ガスリーのホンダ勢(Getty Images)
ワンツーフィニッシュを決めたマックス・フェルスタッペン(左)とピエール・ガスリーのホンダ勢(Getty Images)

 アメリカ大陸3連戦の3戦目、第20戦ブラジルGPはサンパウロ、インテルラゴス・サーキットで行われた。ここで結果について詳しく書くことはないだろう。レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンがポール・トゥ・ウィン、トロロッソ・ホンダのピエール・ガスリーが初表彰台となる2位でチェッカーを受けた。

【写真】天才!“無免許”でF1デビューしたドライバーがこちら

 2019年ブラジルGP決勝日。現地時間の11月17日はホンダの創業者、本田宗一郎氏の誕生日だった。彼は「伸びる時には必ず抵抗がある」という言葉を残している。第4期F1活動のこれまでは、まさに抵抗の連続だった。これまでの多くの悔しさや歯痒さ。苦しくともそれらを糧に、実直に着実に一つ一つを積み重ねてきた。闘争心を静かに燃やし続けた、ホンダの「素直な仕事」が最高の形で報われた。

 レッドブルとトロロッソとのWワークス体制。全く簡単ではない、非常に難しい仕事だ。参戦復帰後はPU(パワーユニット)制作のノウハウの少なさに悩まされ、マクラーレンとの3シーズンに渡るジョイントは失敗に終わってしまった。2018年シーズンからのトロロッソとのジョイントも苦労した。急ごしらえのマシンになったこともあり、ガスリーが度々好走を見せたものの、コンストラクターズランキングは9位に沈んでしまった。

 今年からはTOP3の一角であるレッドブルのジョイント、ホンダは体制の変更や人員の増強をする必要があり、それだけでも大事業だった。4台のマシンに戦闘力のあるPUを供給しなければいけない。そして結果を残さねばならない。より大きな責任を負わなければいけない。その重圧は計り知れない。

 オーストリアGP、ドイツGPで勝利してもそこから伸び悩んだ。サマーブレイク明けのフェラーリの大躍進、それに反して思うように結果が出なくなった。焦りが焦りを呼び、表彰台に登ることすら困難に思えてきた。しかし、前戦第19戦アメリカGPで風向きが変わり始めた。3位表彰台ながらも、今季最強マシンのメルセデスにあと一歩まで迫ることができた。優勝したバルテリ・ボッタスのタイム差は5秒ジャスト。ホンダ・レッドブル陣営は「大きな2つのピース」を手に入れたように感じた。

次のページ
手にした「大きな2つのピース」とは