中学、高校、大学と続く受験。「わが子には、小さいうちからエスカレーター式の学校に」と願う親もいるだろう。「お受験」とは小学校受験を指す言葉だったが、近年は低年齢化し、高校・大学付属の名門幼稚園をめざす「お受験」もある。小学校受験と比べても情報が少なく、門戸が狭い幼稚園受験。都内の名門幼稚園に合格したママや、幼児教室を訪ね、その実態を探った。AERA English特別号「英語に強くなる小学校選び2020」(朝日新聞出版刊)から抜粋してお届けする。

東京・四谷の幼児教室「キッズエデュ」で、幼稚園受験で問われる生活習慣を学ぶ女児(撮影/大野洋介)
東京・四谷の幼児教室「キッズエデュ」で、幼稚園受験で問われる生活習慣を学ぶ女児(撮影/大野洋介)

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 長女の幼稚園受験の経験を著書『名門幼稚園お受験はママが9割』にまとめた岡本なな子さん(仮名、43)。ワーキングウーマンで、夫も高学歴という共働き夫婦だ。「お受験」のきっかけは、子どもが同じ保育園に通うママ友だった。

「当時は2歳のイヤイヤ期で、おむつを外す練習中。そんな時に、ママ友が突然、幼稚園受験すると言い出したんです。しかも偏差値の高い女子大までエスカレーター式の幼稚園で。そんな園の存在すら知らず、『何それ!?』と思いました」

 幼稚園には2年保育(以下2保)と、3年保育(同3保)がある。試験は入園前年の10月ごろに行われることが多く、3保の場合、早生まれならわずか2歳で「お受験」することになる。ちなみに東京の有名幼稚園だと、3保は青山学院、日本女子大学附属豊明、※東洋英和、※白百合学園、※お茶の水女子大学附属など。2保は雙葉、田園調布雙葉、学習院、暁星、東京学芸大学附属竹早などがある。(※2保の募集もある、東洋英和は男児のみ)

■幼少期から一貫校で過ごすメリットとは?

「私も夫も中学受験の経験者です。将来、働きながら受験勉強を娘と乗り越えられるか考えると、早い段階で一貫校に入れてあげたかった。でも、小学校受験で知育やペーパー対策をさせて、子どもらしさを壊したくない。幼稚園受験なら準備期間は1年間。時間的、金銭的負担が少ないと思ったのです」

 本命の園はどう選んだのか。

「園のブランド力や、付属高校の大学進学率が気になりがちですが、大事なのはわが子と園の教育理念との相性です。たとえば、キリスト教系でも、指先を使ったモンテッソーリの課題をする白百合学園のような園もあれば、泥んこで遊ぶのをよしとする田園調布雙葉のような園もあります。その子に向いている園はすごい倍率でも受かります」

 振り返れば、合格を増やしたいあまり、娘に到底向いていない園の対策に労力を費やしてしまい、結果その園は合格に至らず、後悔しているという。

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曽根牧子
編集者/ライター 曽根牧子

朝日新聞出版アエラムックチームの編集・ライター。『AERA English』『英語に強くなる小学校選び』などで教育、英語学習、小学校受験に関する記事を執筆。

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