佐藤二朗「棒読みの妻とセリフを覚える理由」 爆笑ハプニングも… (2/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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佐藤二朗「棒読みの妻とセリフを覚える理由」 爆笑ハプニングも…

連載「こんな大人でも大丈夫?」

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佐藤二朗(さとう・じろう)/1969年、愛知県生まれ。俳優、脚本家。ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズの仏役や「幼獣マメシバ」シリーズで芝二郎役など個性的な役で人気を集める。ツイッターの投稿をまとめた著書『のれんをくぐると、佐藤二朗』(山下書店)のほか、96年に旗揚げした演劇ユニット「ちからわざ」では脚本・出演を手がける

佐藤二朗(さとう・じろう)/1969年、愛知県生まれ。俳優、脚本家。ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズの仏役や「幼獣マメシバ」シリーズで芝二郎役など個性的な役で人気を集める。ツイッターの投稿をまとめた著書『のれんをくぐると、佐藤二朗』(山下書店)のほか、96年に旗揚げした演劇ユニット「ちからわざ」では脚本・出演を手がける

※写真はイメージです (Getty Images)

※写真はイメージです (Getty Images)

 佐藤家に嵐がやってきそうなので他人の家庭も巻き込むが、ある僕の後輩俳優もセリフ覚えを奥様に手伝ってもらうらしく、その奥様は「弾丸」を「だんまる」と読み、その後輩俳優は飲んでたコーヒーを吹きそうになったらしい。正確には吹き散らかしたに違いない。その後輩俳優の名は名誉のために書かないが野間口徹という俳優だ。

 野間口を巻き込んだところで話を戻すが、妻にセリフ覚えを手伝ってもらうのは、あくまで相手役との「会話」の場合だ。「相手役のセリフを聞いていれば自分のセリフも出てくる」と言われるように、会話なら相手役に依存できる。しかし頼るべき相手役がいない場合もある。「長ゼリ」だ。

 長ゼリであっても、たとえば内容にストーリーのあるような長ゼリならば、それを「拠り所」として覚えることができる。しかし、かつて舞台で、本番3日前に「資格の名前」を延々4ページの長ゼリで渡されたことがある。医療事務管理士とかボイラー技士3級とかフードコーディネーターなどの資格である。何かの名前の羅列というのは覚える拠り所がないので、とにかく必死に覚えるしかない。

 さらにこの演出家は、別の舞台で今度は「イスラム教国」の羅列を4ページ、僕に与えた。で、舞台本番、僕がこの長ゼリを忘れたり詰まったりして四苦八苦してると、客席の後ろでオジサンの笑い声がする。その演出家だ。かように演出家はドSで、俳優はドMだ。武士の情けでその演出家の名は伏すが堤幸彦という人です。

 まあ、だからアレだね、身も蓋もなくても、やっぱりセリフは「一生懸命に覚える」、しかないね。ひえ~、前回のコラムと結論、一緒になっちゃった。(文/佐藤二朗)


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佐藤二朗(さとう・じろう)/1969年、愛知県生まれ。俳優、脚本家。ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズの仏役や「幼獣マメシバ」シリーズで芝二郎役など個性的な役で人気を集める。ツイッターの投稿をまとめた著書『のれんをくぐると、佐藤二朗』(山下書店)のほか、96年に旗揚げした演劇ユニット「ちからわざ」では脚本・出演を手がける。

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