今年、医師国家試験を受けられる大学80校のうち、18年の国家試験欠席者0人=22校、1人=14校、2~3人=20校、4~5人=8校。7人以上=16校となっている。

 18年、東京医科大の欠席者は15人を数えた。6番目の多さだ。

 国家試験欠席者が多い大学はある。しかし、難易度が東京医科大クラスの大学で2ケタ以上が欠席するところは見当たらない。ある私立大学医学部関係者にこの疑問をぶつけてみたところ、こう答えてくれた。

「臼井正彦理事長が学長に就任したのが08年です。その翌年09年の入学者が6年生になって国家試験を受ける15年から欠席者が急増しています。ということは、09年から学力が十分でない学生を受け入れて、6年後、国家試験欠席者急増につながったという見方ができます」

 臼井理事長主導の裏口入学によって、国家試験の欠席者を増やしたということなのだろうか。

 医師国家試験の出願は11月。試験日は翌年の2月10日前後が通例となっている(18年は出願11月1~30日、試験は2月10、11日)。出願したものの、試験までに合格できる力を身につけることができず欠席した、あるいは欠席させられた。それによって合格率は高い水準を保ってきたのか―――前述の関係者はそんな疑いを抱いている。

 すでに東京医科大では数年から裏口入学があったという報道がなされている。それが最近の国家試験欠席者増につながるか。まだ、因果関係はわからない。

 東京医科大は外部の第三者でつくる調査委員会を設置し、裏口入学の実態、裏口入学者がその後どうなったかについて調べるべきだろう。そして、速やかに調査内容をつまびらかにする。

 そうしないと、東京医科大が長年、培ってきた医学部ブランドが崩れ落ちてしまう。大学の自浄努力に期待したい。

(文・小林哲夫教育ジャーナリスト)