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西日本豪雨で最も雨が降った高知県で被害が小さかった理由とは?

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西岡千史dot.
高知市内の鏡川では、川に面した住宅まで水が迫った=7月7日撮影 (c)朝日新聞社

高知市内の鏡川では、川に面した住宅まで水が迫った=7月7日撮影 (c)朝日新聞社

降雨量が多かった地点1~10位。11~20位はこちら

降雨量が多かった地点1~10位。11~20位はこちら

降雨量が多かった地点11~20位

降雨量が多かった地点11~20位

 それでも7月5~7日には高知市で374ミリの雨量を記録。これは岡山や広島、愛媛の被災地と同じ程度の降雨量だ。それでも高知県河川課の川村俊二利水担当チーフは「鏡ダムが想定する範囲内の雨量だったので、問題はなかった」と話す。高知の豪雨対応のインフラの強さが、被害を軽減したとの認識は県と市で共通している。

 では、高知市はどの程度の雨量まで耐えられるのか。近年で危機的状況となったのが、2014年8月の台風12号に伴う豪雨だ。この時は、今回の豪雨の2倍以上となる72時間で829.5ミリを記録。市内全域には避難勧告が出され、最悪の事態も想定された。鏡ダムの水位はあと1メートルであふれるところまで迫った。

 だが、この時は鏡ダムの管理事務所が、ゲートの開閉をコンピューター制御から手動による操作に変更。下流の水位と降雨量の数値を見極めながら、人間の判断で数センチのレベルでゲートの開閉を行い、寸前のところで氾濫を防いだ。手動によって、水位の上昇は約1メートル防いだという。「ダム職人」の技によって最悪の事態を回避したのだ。

 今回の西日本豪雨では、愛媛でダムの放流によって下流の川が氾濫し、被害を拡大させた可能性が指摘されている。高知県のある職員はこう話す。

「ダムの保水能力の限界を超える雨量が降れば、下流に放流せざるをえない。その時は、降ってきた雨がそのまま下流に流れることになる。想定以上の雨が降ったということです」

 前出の江渕課長が述べたように、高知県は過去の豪雨災害の教訓から、長い時間をかけて治水工事を進めてきた。その結果、高知市は一部の地域を除いて1時間あたり77ミリの豪雨に襲われても対応できる排水能力がある。ちなみに、東京都の排水能力は1時間あたり50ミリ、岡山や広島は40~50ミリ程度。高知市の排水能力は1.5~2倍以上高い。大雨時のダムの放流についても「研修の実施や職員同士による知識の共有で、技術を高めている」(高知県土木部河川課・川村俊二利水担当チーフ)という。

 こういった治水工事の実績と担当者の経験から、今回の記録的な豪雨でも「想定内」のものとなったのだ。


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