では、具体的にどのようなスキンケアを行っていけばよいのでしょうか?

 スキンケアの効果を検証した研究では、1日1~2回の保湿を行っているものが多いようです(4)。どんな種類の保湿剤が良いかはわかってはいませんが、アトピー性皮膚炎の程度を改善させる作用があること等から、セラミド配合のものが良いという意見もあります。

 赤ちゃんに使うものですから安全性も大切です。口に入ったときのことを考えると、食品成分なら安全、と思われるかもしれませんが、これは注意が必要です。03年の研究では、ピーナッツオイルを含むクリームを皮膚に塗っていた赤ちゃんは、ピーナッツアレルギーになるリスクが高く、オッズ比は6.8倍ということがわかっています(5)。ベビーマッサージ用のオイルなど、ナッツの油をすすめられることがあるかもしれませんが、できれば食品成分でないオイルの方が安心だと思います。

 安全なものであれば、何を塗るかということよりも、体全体に保湿剤をたっぷり塗り、毎日スキンケアを続けることが大切です。保湿剤は特別に高価なものでなくて大丈夫です。市販の赤ちゃん用の保湿剤で、食品成分が入っていないものの中から、ママ・パパの好みのテクスチャー・形態(ポンプタイプ、チューブタイプなど)のものを選ぶとよいでしょう。

 これから夏に向けて、あせもなどの皮膚トラブルも増える時期ですね。お風呂に入った後は、夏でも保湿をして、赤ちゃんのお肌を健康に保ちましょう。

1.Lack G. Epidemiologic risks for food allergy. J Allergy Clin Immunol. 2008;121(6):1331-6.
2.Tsakok T, Marrs T, Mohsin M, Baron S, du Toit G, Till S, et al. Does atopic dermatitis cause food allergy A systematic review. J Allergy Clin Immunol. 2016;137(4):1071-8.
3.Horimukai K, Morita K, Narita M, Kondo M, Kitazawa H, Nozaki M, et al. Application of moisturizer to neonates prevents development of atopic dermatitis. J Allergy Clin Immunol. 2014;134(4):824-30 e6.
4.Lowe AJ, Leung DYM, Tang MLK, Su JC, Allen KJ. The skin as a target for prevention of the atopic march. Ann Allergy Asthma Immunol. 2018;120(2):145-51.
5.Lack G, Fox D, Northstone K, Golding J, Avon Longitudinal Study of P, Children Study T. Factors associated with the development of peanut allergy in childhood. N Engl J Med. 2003;348(11):977-85.

◯森田麻里子(もりた・まりこ)
1987年生まれ。東京都出身。医師。2012年東京大学医学部医学科卒業。12年亀田総合病院にて初期研修を経て14年仙台厚生病院麻酔科。16年南相馬市立総合病院麻酔科に勤務。17年3月に第一子を出産。小児睡眠コンサルタント。Child Health Laboratory代表

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森田麻里子

森田麻里子

森田麻里子(もりた・まりこ)/1987年生まれ。東京都出身。医師。2012年東京大学医学部医学科卒業。12年亀田総合病院にて初期研修を経て14年仙台厚生病院麻酔科。16年南相馬市立総合病院麻酔科に勤務。17年3月に第一子を出産し、19年9月より昭和大学病院附属東病院睡眠医療センターにて非常勤勤務。小児睡眠コンサルタント。Child Health Laboratory代表

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