今国会における安倍政権の最重要法案である「働き方改革関連法案」。19日ぶりに正常化した国会では野党から対案が提出されるなど、法案をめぐる議論の激化が予想される。
その働き方をめぐって5月6日、自動販売機事業大手・ジャパンビバレッジ東京の従業員らが都内の貸し会議室に集まり、集会を開いた。マイクを渡された参加者の一人は、こう話した。
「本当はストライキなんてやりたくなかった。ただ、法律を守ってほしいだけ」
東京駅で自販機の売り切れが続出している──。そんな声がSNS上で飛び交い始めたのは4月18日のこと。「売り切れ」の赤いマークが多数表示された自販機の写真がTwitterに投稿されると瞬く間に拡散した。
売り切れ頻発のきっかけを作ったのが、冒頭に紹介したジャパンビバレッジの従業員たちだ。同社で働く約900人のうち十数人が、同日から東京駅で順法闘争(法規に違反しないまま業務をサボタージュする労組の戦術)を開始したことで、自販機の補給が滞ったのだ。
東京駅で勤務する同社社員の伊藤啓太さん(仮名)は、順法闘争が始まってからの勤務状況について「休憩をちゃんと取って、残業をやめた今の仕事の達成率はそれまでの5~6割くらい」と話す。今回、伊藤さんは休憩時間を使って取材に応じてくれた。東京駅へ戻る伊藤さんと歩いていると、ふと言葉を漏らした。
「ゆっくり休めるっていいなぁ」
4月25日早朝、東京駅の自販機を30台ほどを記者が調べてみた。売り切れ表示はほとんどなかったが、栄養ドリンク2種類、微糖コーヒー2種類が売り切れているものもあった。近くのコンビニ従業員に聞くと、「あまり意識していなかったので、売り切れていることに気づいたことはない」という。前出の伊藤さんによると、「これまで15人で東京駅の自販機をカバーしていました。順法闘争開始後に7人の人員補充があった」と明かした。「売り切れ」自販機が続出したことに対し、会社側が対応したのだ。
だが、伊藤さんらは今も順法闘争を続けている。