左から杉田成道監督、松雪泰子、田中奏生、江口洋介、藤野涼子(撮影/河嶌太郎)
左から杉田成道監督、松雪泰子、田中奏生、江口洋介、藤野涼子(撮影/河嶌太郎)

 江戸時代を舞台に、武家や市井の日常を描いた時代小説家・藤沢周平が亡くなってから今年で20年になる。この節目の年を記念して、これまで映像化されなかった作品をドラマ化した「藤沢周平 新ドラマシリーズ」第二弾がBSスカパー!の時代劇専門チャンネルで9月から放送される。

 ドラマ化される作品は、1980年に実業之日本社から出版された「橋ものがたり」。江戸期の10の橋を舞台に、10の物語が織りなす短編集だ。このうち、「小さな橋」「吹く風は秋」「小ぬか雨」の3つの短編が9月から順次ドラマ化される予定だ。

 7月18日に都内で記者発表会が開かれ、「小さな橋」の杉田成道監督と、主演の松雪泰子、江口洋介、藤野涼子、田中奏生が登壇。「小さな橋」は一つの家族の絆を描いた物語で、松雪泰子が母・おまき役、江口洋介が父・民蔵役、藤野涼子が姉・おりょう役、田中奏生が弟・広次役を演ずる。

 主演の松雪は「監督がものすごく感情を放出する役として演出してくださった。ここまでエキセントリックに表現して大丈夫なのかと思うぐらいだったんですけど、いざリハーサルをやってみると、最終的にすごく触れ合うものがストンと収まるのを感じた」と杉田監督の手腕を賞賛した。

 民蔵役の江口は「監督が全て組み立ててくれたことで、急にリハーサルに臨むことになっても、感覚だけで役を演じることができた。これが杉田スタイルなのかと思った」と話した。

 2人が絶賛した杉田監督は、国民的ドラマ「北の国から」の監督を務めたことでも知られる。杉田監督は会見で「『橋ものがたり』は藤沢の作品の中でも名作とされ、みっともない真似はできないと緊張して撮影に臨んでいる。『小さな橋』は子どもが主体のホームドラマを描いた時代劇。時代劇版『北の国から』を目指して製作している」と話し、意欲をみせた。

 「小さな橋」は9月18日に放送予定。続く「吹く風は秋」「小ぬか雨」は10月に放映を予定している。

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