塚田幸光(つかだ・ゆきひろ)/関西学院大学教授。英語教員としてTOEIC指導をライフワークとしていて、京都大学や神戸大学などでTOEIC対策講座を受け持つ。『はじめての新TOEIC(c) テスト全パート総合対策』(アスク出版)など著書も多数
塚田幸光(つかだ・ゆきひろ)/関西学院大学教授。英語教員としてTOEIC指導をライフワークとしていて、京都大学や神戸大学などでTOEIC対策講座を受け持つ。『はじめての新TOEIC(c) テスト全パート総合対策』(アスク出版)など著書も多数

 子どものころ、漢字の書き写し練習を経験した人も多いだろう。この「書き写し」が、意外にもTOEICのスコアアップに効果的だという。この勉強法を提唱するのは、関西学院大学の塚田幸光教授。『AERA English 2017 Spring & Summer』(朝日新聞出版)で、練習マニュアルやドリルも公開している。今回は特別に、塚田教授のインタビューをお届けする。

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 英語で論文を書いたり、外国人の同僚と英語で話したり、学生に英語を教えたりと、日々英語を操る塚田教授。しかし、最初から英語が得意なわけではなかった。

「大学時代、TOEFLのリスニングに苦しみました。どうしたら英語が聞き取れるようになるのか? 英文を一度読んで、話の流れと語彙を確認してから聞くと、よく聞き取れる。さらに、全文を書き写してから聞くと、もっとよく聞き取れることに気づきました」

 英語を書き写すことによって、どんな変化が起きたのだろう?

「手を使って書くことで、流して読んでいた部分も、細かく意識し、理解できるようになったのだと思います。当たり前のことですが、知らない英語は聞き取れないけれど、知っている英語は聞き取れるようになる」

 意外なことに、書くことによって、リスニング力を伸ばしたのだ。

 これを機に、英語学習に書写を取り入れた塚田先生。リスニングのみならず、ライティング、リーディングの力も相乗的に伸ばすことができたそうだ。

「書くことで、文章の意味とロジックが自分の中で明確になる。それが頭に残り、英語で論文が書けるまでになりました。この学習法の“秘めた実力”には驚きましたね」

 書き写すことのメリットは、文章や会話をパターンとして把握できることだ。特にTOEICの問題には、ある種のパターンが存在する。

「問題のパターンを知っていれば、次にどんな内容がくるのか予測することができます。予測しながら聞ければ理解はグンとアップします」

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