11回目を迎える今年、大幅なコース変更があった東京マラソン。写真は2016年の様子。(写真:Getty Images)
11回目を迎える今年、大幅なコース変更があった東京マラソン。写真は2016年の様子。(写真:Getty Images)

 冬の風物詩となった日本最大級のマラソンイベント「東京マラソン」が2月26日、東京都庁からスタートする。2007年の初開催から11回目を数える今大会も例年通り、車いすマラソン(10km)、フルマラソン(42.195km)、10kmマラソンの3種目で行われるが、前回までと違うのは大幅なコース変更。中でもフィニッシュが臨海部の東京ビッグサイトから東京駅前・行幸通りに変わったことが大きな話題となっている。

 前回までは東京都庁をスタートした後、飯田橋から皇居前、日比谷を抜けて品川方面へ向かい、にぎやかな銀座、日本橋、浅草雷門を通って、終盤の臨海部へと向かうのが定番だった。それが今回は飯田橋から神田を抜け、従来とは逆方向の日本橋・浅草方面へ。さらに両国、門前仲町まで足を延ばして銀座に入り、そこから品川方面を折り返して、終盤は日比谷、そして東京駅前・行幸通りでフィニッシュを迎える華やかなコース設定となった。
 
 コース変更の背景にあるのは、「より魅力的なロケーションのアピール」と「記録を狙えるコース設定」という2つの観点だ。大会事務局によれば、当初は「安全な大会運営を」との理由で交通規制の負担が少ない臨海部をフィニッシュ地点にしてきたが、10年の運営ノウハウを積み重ねたことで、フィナーレに相応しい、人通りが多く交通の利便性も良い場所にフィニッシュ地点を移すことができたという。
 
 また、東京マラソンは2013年に「アボット・ワールドマラソンメジャーズ」に加入し、世界6大マラソン(ボストン、ロンドン、ベルリン、シカゴ、ニューヨーク、東京)の仲間入りを果たしたことから、世界記録が生まれる舞台づくり、つまり高速コースの設定に力を注いできた。そのため選手が体力を消耗するレース終盤のコースを一新。起伏があり海風も強い臨海部コースをやめ、平坦な東京駅周辺をフィニッシュに据えた。

 そんな東京マラソンは市民ランナーの祭典であると同時に、今年8月、ロンドンで開かれる世界陸上選手権男子マラソン日本代表選考会や賞金レースという側面も備えている。そのため国内外のエリート選手が出場し、今年は世界歴代4位の記録(2時間3分13秒)を持つウィルソン・キプサング(ケニア)がエントリー。24日に開かれた記者会見では、2時間2分57秒の世界記録を更新する2時間2分50秒を狙うと宣言した。

 日本勢では2015年の同大会で日本歴代6位の2時間7分39秒を記録した今井正人(トヨタ自動車九州)が筆頭。2016年は13位と振るわずリオ五輪出場を逃したが、そこから気持ちを切り替え練習法も見直すなどして今大会に臨んでいる。また東洋大学時代、箱根駅伝2区で2年連続区間賞の実績からマラソンでの活躍も期待される服部勇馬(トヨタ自動車)も昨年12位の雪辱に燃えている。

 今回、一般募集の定員26,370 人に対して応募総数は過去最高の321,459 人(抽選倍率約12倍)と、不動の人気を誇る東京マラソン。見事、出場権を射止めたランナーたちが午前9時5分の号砲を合図に首都東京を駆け抜ける。(文・高樹ミナ)