だが、観客動員数については減少傾向に歯止めがかかったとは言い難い。昨季と比べて観客動員数は増えたものの、その裏にはガンバ大阪の新スタジアムによる集客効果が大きい。逆に他クラブは例年以上に苦戦し、国内随一の観客動員力を誇る浦和でさえも、頭打ちの状態が続いている。約10億円の増収以外、新システム(2ステージ制+CS)を導入したことによるメリットは少なかったと見るのが妥当だろうか。

 今夏、Jリーグはイギリスの動画配信大手「パフォーム」グループが擁するライブストリーミングサービス『DAZN(ダ・ゾーン)』と大型契約を締結。来季からの10年間で総額約2100億円という巨額の放映権料を手にすることになった。

 村井チェアマンは1シーズン制へ戻す最大の理由として「日程的な限界」を強調したが、実際にはDAZNとの契約にこぎ着けた影響が大きい。少なくとも、中期的には減収傾向への不安が消えたからだ。

 もっとも、Jリーグの直面する課題がなくなったわけではない。依然として「関心度の低さ」や「観客動員数の減少」は改善されていないのだ。システム(リーグ戦の方式)にメスを入れたいくらいで何とかなる類の問題ではないだろう。そもそも観客動員数の減少は、すでに1シーズン制の時代から始まっている。

 新しいファン層の関心を集め、動員力を上げるには、システム(リーグ戦の方式)に拠らない、別のアプローチが必要ということか。言わば、外身よりも中身――。その充実のために、巨額の放映権料はあると言ってもいい。(文・北條聡)