現に今年の高校総体では、戸田翔陽高の小池亜優が優勝。土橋は7位だった。小池は今シーズン絶好調で、8月に行われた全日本ジュニア体操選手権(高校生まで出場できる)でも優勝。五輪の代表選考でも代表候補まであと一歩というところに迫っていた。

 土橋と小池は高校2年生だが、実は高校1年生がさらに豊作なのだ。今年の高校総体では、2~5位がすべて1年生。畠田瞳(セントラル目黒)、花島なつみ(フジスポーツクラブ)、中路紫帆(戸田市スポーツセンター)、梶田凪(山梨ジュニア体操クラブ)だが、彼女たちは種目によっては、五輪代表選考試合でもあった6月の全日本種目別選手権の決勝にも残る大活躍。とくに花島は、平均台以外の3種目で決勝進出、畠田も跳馬と段違い平行棒の2種目で決勝進出。中路はゆかの決勝で3位に入る健闘をみせた。

 さらに驚くべきことに、このときの全日本種目別選手権の決勝には、中学生も残っていた。中学3年の桒嶋姫子(戸田市スポーツセンター)、中学2年の塙颯香(フジスポーツクラブ)など、若さあふれる思い切った演技で、高校生や大学生を凌ぐ勢いだった。若い選手たちはまだ体が小さいこともあり、日本の課題である「高難度の技」にも果敢に挑戦してくる。リオ五輪では平均台が日本の弱点となっていたが、そこで高得点が望める桒嶋、塙などが順調に成長すれば、日本チームの大きな力になるだろう。

 ロンドン五輪の代表選考のときに、当時中学生で選考対象外ながら鮮烈な印象を残していた杉原愛子が、リオでは代表入りし、チームに大いに貢献したことを考えると、東京五輪では現在の中学生が代表入りしている可能性は十分にある。

 常に金メダル候補だった男子に比べると、これまではどうしても女子の強化は後回しになりがちだった。だが、いよいよメダルも視野に入ってきた今、土橋ココをはじめとする若き才能が大きな花を咲かせられるよう、十分な強化がなされることを期待したい。(ライター・椎名桂子)