東京五輪PR映像に登場した土橋ココ選手
東京五輪PR映像に登場した土橋ココ選手

 日本でもさまざまな反響があった、リオ五輪閉会式での東京をアピールするアトラクション。マリオに扮した安倍晋三首相が大きく取り上げられたが、その一方で注目されたのが、PR映像のその冒頭で渋谷のスクランブル交差点で開脚ジャンプをみせる制服姿の女子高校生だ。

 大きな目が印象的で、くっきりした顔立ちの少女は、タレントではなくれっきとした体操選手。現在、名古屋経済大学市邨高の土橋ココだ。今回のリオ五輪で女子体操の主将を務めた寺本明日香(中京大学)と同じレジックスポーツに所属し、中学生のころから全日本レベルの大会にも出場する実力者。2015年は当時1年生ながら、高校総体の個人総合で優勝も果たしている。

 男子体操の歴史的金メダルの陰に隠れがちだが、女子も今回のリオでは団体で4位という、メキシコ五輪以来の快挙を成し遂げている。その躍進の原動力となったのが、若い選手たちの力だった。弱冠20歳の寺本が最年長になってしまうほど、今回の体操女子チームは若い選手が多く、杉原愛子(梅花高校/朝日生命)と宮川紗江(セインツ体操クラブ)の2人は高校生だった。

 土橋は今シーズン調子があがりきらず、五輪の代表入りは果たせなかったが、本来なら代表を狙えるだけの力を十分にもっている。脚力が強いので、跳馬とゆかが強く、中学生のころはやや淡々と演技する傾向にあったが、高校生になってからは表現力も増してきており、東京五輪では日本チームの中核となることも期待されている。「2020東京五輪」をPRする映像の冒頭に抜擢されたのも当然、という逸材なのだ。

 しかし、そんな土橋にとっても東京五輪の代表に入ることは容易ではない。まず、リオでは5人だった体操女子の代表選手の数が、東京からは4人になる。そして頼もしいことに、日本の女子体操は現在の中高生が大豊作で、土橋といえど安泰ではないのだ。

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