「今年は遠目からでもシュートを打っていこうかなと。そういう意味では、一発シュートを打てたし、意識していることができている。しかも、あのプレーでチームの流れが良くなったじゃないですか。やっぱりああいうプレーは大事だなと思いました。それを自分がやったというのが良いところ。その後にヘディングシュートのチャンスもあったし。あれを決めていれば、自分のポジションを確約できたのかなと思います。自分も気持ちが乗ってくるから、ああいう仕掛けは増やしたい」

 3日(現地時間)に行われたバルセロナとの強化試合でも、鋭い切り返しやターンからチャンスを呼び込むシーンがあった。岡崎が「あのプレーは、もっと出したい」と語るように、昨季以上に仕掛けの意識を高く持ち、危険な動きでゴールに迫ろうとしているのだ。「今季は決めたいですね。決めたいし、攻めたい。仕掛け続けたい」との言葉通り、これまで以上にアグレッシブに仕掛けようと決意を固めている。

 今季のもうひとつのポイントが、前線の定位置争いである。ロシアリーグで13ゴールを挙げたナイジェリア代表FWのアーメド・ムサが加わり、昨季よりもレギュラー争いが激しくなることが予想される。

 得点源のヴァーディを2トップの一角として当確とすれば、ムサと長身FWのレオナルド・ウジョア、そして岡崎の3人で残りの1枠を争うことになる。現時点でリードしているのは昨季レギュラーの岡崎だが、ムサもバルセロナ戦で2ゴールを挙げるなど好調だ。この定位置争いについても、日本代表FWは各選手の特長を掴み、自身のアピールポイントをすでに把握している。岡崎はこう分析する。

「ムサとヴァーディの2トップの場合、カウンターになれば2人とも独力で突破できる特徴があるけど、攻撃がそればかりになってしまう。ウジョアがFWになったらパワープレーが多くなる。一方、自分が入れば、ボールを(中盤など狭い局面でも)受けられる。今日の試合では不利なボールが多く、取られてしまう場面が結構あったけど、取られなければチャンスになる」

 さらに、岡崎はこんな可能性を指摘する。

「(FWは)選手のタイプが全員違う。ユナイテッド戦で言ったら、(攻守のバランスがとれる)僕を使ってくると思うんですけど、監督としては周りの声もあると思う。『ムサとヴァーディを使え』『単純にあの2人の速さを見たい』とか。そういう意味では、あの2人を選ぶ可能性もある」

 たしかに、豊富な運動量を持つ岡崎は、あらゆるスペースに顔を出し、攻守両面でチームに「スイッチ」を入れることができる。躍動感をもたらすほか、守備の貢献度も高いため、イタリア人のラニエリ監督も継続して岡崎を起用しているのだろう。

 ゴールへの欲望はいつになく高まっているが、まずは試合に出ないことにはネットを揺らすこともできない。そのために「ハードワーク」で支える覚悟もあるし、定位置争いを勝ち抜く道筋も見えている。あとは、ラニエリ監督がどう判断するか。

 「仕掛けの意識」、「走力」、そして「思考力」──。ここに、今季は「決定力」を伸ばしたい。持てる力を総動員しながら、岡崎はプレミアリーグ2季目に突入した。(文・田嶋コウスケ)