「最も演じる回数が多いのは、やっぱりドラえもんとのび太です。ポリシーは、子どもに夢を与える作品を傷つけないこと。下ネタや暴力は厳禁です」

「藤子FA宣言隊」の2人、藤子さんの笑顔の写真と仲良く記念撮影した後、食い入るように展示を見つめていた。

 企画展は、『大長編ドラえもん』の原画を1年間かけて、3回に分けて展示する予定だ。このほか、藤子さんの作品を集めた漫画ライブラリーや、伝統産業である高岡銅器で制作したドラえもん像、ドラえもんグッズを集めたショップなど、盛りだくさんの内容となっている。

 藤子さんは高岡市で生まれ、同市立定塚小5年の時、転校してきた藤子不二雄(A)(我孫子素雄)さんと出会い、2人で漫画を描くことに熱中した。20歳で上京するまで同市内で過ごしている。「藤子・F・不二雄ふるさとギャラリー」がオープンした12月1日は藤子さんの誕生日であり、作品原画の多くを所蔵する川崎市の「藤子・F・不二雄ミュージアム」の姉妹館として、高岡市美術館の2階全フロア約300平方メートルを使って整備された。

 ギャラリーまでは、高岡市と射水市を結ぶ路面電車がおすすめ。第三セクター鉄道・万葉線の11ある車両の一つをドラえもん仕様にした「ドラえもんトラム」が1日7往復半する。車体は青色で、首輪をイメージした赤いラインと鈴。窓にはのび太君などキャラクターが並び、出入り口は「どこでもドア」。天井にはタケコプターで空を飛ぶドラミちゃんやしずかちゃんが描かれている。

 このほかにも高岡市内にはドラえもんにちなんだ施設やモニュメントなどがたくさんある。高岡おとぎの森公園には、ドラえもんの日時計があり、土管や木材を置いた空き地を再現した一角ではキャラクター像が迎えてくれる。高岡駅の交通広場には高岡銅器のドラえもんポスト、駅前には銅像が。高岡市中央図書館内には初版本なども含めて作品を集めた「ドラえもん文庫」が開設されている。

 子どもはもちろん、大人も楽しめる「ドラえもんのふるさと高岡」。1日かけて高岡市内を巡れば、ドラえもんの世界の住人になれること間違いなし。ぜひ「どこでもドア」でどうぞ。
 
(ライター・若林 朋子)