現在、車の屋根に生息するのはガジュマル、アコウ、ホルトノキ、シダ(何シダかは不明)、オオタニワタリ、コケ(種名不明)、ナデシコ、マツバボタン、サンスベリア、ニチニチソウなど10種が確認されている。ガジュマルは2本あるが、最近になってニューカマーが登場し、3本になったそうだ。これらの植物のために、3〜4時間に1回は車上に水やりをする。

 しかし、この状態で次の車検を通すのは難しいと判断、すでに2回車検を通しているが、ここまで植物繁茂はしていなかったので、次は廃車にしようと決めた。

 ところが、そこで声を上げたのがずっと生育の過程を見守ってきた全国にいるジャングル・カーのファンたちだ。知念さんはブログ、mixi、FacebookといったSNSを使い、芝生を植えたときからずっと記録を公開してきた。そのため、全国に知念さんを応援する人々がいる。その中のひとりであり、親しい友人の小笠原春野さんが「だったら、廃車にする前に、このすごい車を全国の人たちに見てもらおう」と持ちかけた。

「そんな恥ずかしいことはイヤだ! と思ったんですが、でも、ひとつだけやってもいいかなと思った理由があったんです。それは、子供たちのビックリする顔、楽しそうに笑う顔が見たいということ。沖縄本島では結構な数の子どもたちがこの車を見たので、笑顔にはなるけど、最初に見たときのような目がまん丸になるリアクションはもうないんですよ。それがもう1回見たいなと思って」(知念さん)。

 まだ芝生を植えていた頃、忘れられないことがあったと知念さんは言う。お母さんに抱かれていた1歳にもならない赤ちゃんが、ジャングル・カーを見たとたん、目がまん丸になってウキャウキャ笑いながら車を指さしたというのだ。

「この車は見た人の常識をひっくり返すと思っていましたが、常識がまだない赤ちゃんまですごい反応だったんですよ」(知念さん)。

 しかし、全国を回るには資金が必要だ。小笠原さんのアイデアで、クラウドファンディングを活用しようと言うことになり、「ジャングル・カーで日本縦断キャラバンに行きたい!」というタイトルで出したところ、待ち構えていた全国のファンや、初めてこの車の存在を知った人々が次々と支援し、見事100%以上を達成。

 というわけで、8月1日(土)、「子どもたちに常識をひっくり返す楽しさを知ってほしい」という知念さんの思いを乗せたジャングル・カーは、那覇港を出発する。

 本州では鹿児島〜広島〜今治〜高知〜京都〜岐阜〜長野〜富山〜新潟〜秋田〜山形〜福島〜栃木〜群馬〜東京〜大阪ときて、最後はふたたび鹿児島からフェリーで沖縄へという行程予定だそうだ。

 立ち寄る場所はジャングル・カーを応援してきた友人たちの自宅などが多いため、その全行程はご紹介できないが、関連リンクの「走れ! ガジュマル兄姉」というFacebookページに訪れた場所での報告が掲載される。(島ライター 有川美紀子)

【関連リンク】
ジャングル・カーの今まで、そしてこれからを知ることができるFacebookページ。
https://www.facebook.com/FlowerGardenCar