スタジアム「アレナ・パンタナウ」
スタジアム「アレナ・パンタナウ」
セントロにある気温表示。午前中でこの数字
セントロにある気温表示。午前中でこの数字
スタジアムの案内などもあり街中は問題ないが、夜は注意が必要
スタジアムの案内などもあり街中は問題ないが、夜は注意が必要
VLTの空港駅は無人。工事途中の線路がバスの経路を邪魔している場所も
VLTの空港駅は無人。工事途中の線路がバスの経路を邪魔している場所も

 ザックジャパンのグループリーグ最終戦の舞台となるクイアバについては「マット・グロッソ州都で南米大陸のド真ん中」であり、「世界最大のパンタナル(湿原)」「ブラジル有数の穀倉地帯」などと言われている。観光資源としては、ピラニア釣りやロザリー教会などがあるが、地元の人も観光客もこの街の特徴として、まず口にするのは「とにかく暑い」ということである。

 6月に入ってから日中30℃を超えなかったことがないらしく、季節はもうそろそろ冬のはずなのだが真夏日が続き、猛暑日も3日にいっぺんくらいやってくる。高原だし朝夕は……と思いきや、朝と夜も気温はなかなか下がらず熱帯夜も存在する。サポーターのみなさまはまずはこの暑さを念頭に置いて、熱中症、日焼けなどの対策を講じてほしい。

 スタジアム「アレナ・パンタナル」は開幕1週間前に完成したばかりで、全12会場でワーストクラスの工期の遅れだったらしく、市民も「完成するとは思っていなかった」と驚くほど。最後は急ピッチの工事だったらしい。ただ、ロケーションは良く、セントロから2~3キロと歩けないこともない。ローカルバスの路線も多く、ゲーム開催日は頻繁にシャトルバスを運行しているのでアクセスに問題はなさそうだ。

 地元紙には「これでクイアバは準備万端」という見出しがついたが、それはあくまでスタジアム周辺のみの話で、空港からの足「VLT」(Veiculo Leve sobre Trilhos/都市型旅客鉄道)はついに完成しなかった。

 2011年末に全長22キロ、総予算15億レアル(1レアルは6月15日現在46円)の超大型プロジェクトとして計画はスタートしたが、着工したのは1年前。それでも今年の3月までには完成予定だったのが、それを大幅に超え6月に入っても「進捗は50%程度」という発表があり、同時に12月に開業式を行うというニュースが流れ、「なお完成は15年1月になることもある」というさらなる遅れに対して事前の言い訳までする体たらく。「ワールドカップまでに間に合わないのであれば建設自体に意味があるのか」と工事を凍結する意見もあるとか。

 さらに驚くことに、現在も工事は続けられているが、その内容は完成に向けた工事ではなく、景観を保つため未舗装の線路付近に芝を貼る作業らしい。そのためバスやタクシーが遠回りを余儀なくされている道路もあり、本末転倒の感は否めない。ともかく、サポーターの市内への足はタクシーか、慣れていないと利用しにくいローカルバスのどちらかとなりそうだ。

 ただ、今回のワールドカップには各空港内に「ファンゾーン」というフリースペースが設置され、情報交換やサポーター同士の交流ができるエリアとなっている。クイアバのマレシャウ・ロンドン空港も電源やWi-fi付きファンゾーンが開幕前から無事にオープンし、深夜、早朝の便を利用するサポーターは仮眠をとるなど活用していた。

 また、アフターゲームはリゾート都市であるレシフェやナタールほど充実はしていないものの、キックオフが現地時間17時と3試合の中でもっとも早く、試合後の乾杯も実現できるだろう。

 とはいえ、22時以降になるとぐっと人通りが減り、空いている店もかなり限られてくる。レシフェやナタールのように「ビーチ沿いは比較的安全」というエリアの住み分けもなく、タクシーも両都市ほど多くないので、深酒はほどほどに。

 レシフェ、ナタール、クイアバの3都市でとりあえず、グループリーグが終了する。クイアバがザックジャパン最終の地とならず、まだまだ試合が続くことを切に願う。