※写真はイメージです(GettyImages)
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●赤ちゃんは母親の食事を一緒に味わっている

 味覚をつかさどる組織は、妊娠8週を迎える頃までは出現しない。とはいえ、その組織ができたとたんに、なにかを味わう能力がそなわるわけでもない。味がわかるようになるのは、妊娠後期を迎えてからだ。この頃になると、私たちになじみのある行動を観察できるようになる。

 妊娠後期を迎えた赤ちゃんは、母親が甘いものを食べていると羊水を飲み込むパターンを変える。たくさん飲み込むようになるのだ。

 母親の食事からもたらされる風味豊かな化合物は、胎盤から羊水へと入っていく。妊娠後期の赤ちゃんは羊水を1日約1リットルの割合で飲み込む。

 この影響はきわめて大きく、妊娠後期に母親の摂取した食べ物が、赤ちゃんの食べ物の好みに影響を及ぼす場合がある。

 ある研究では、妊娠したラットの子宮に、科学者がリンゴジュースを注入した。このラットから子どもが生まれると、その子たちはリンゴジュースを好む強い傾向を示した。

 同様の味の好みは人間にも起こる。妊娠後期にニンジンジュースをたくさん飲んでいた母親から生まれた赤ちゃんは、ニンジン風味のシリアルを好んだ。

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好きな食べ物を左右する「味覚のプログラミング」とは?