第16回 人間関係に悩む大人にも通じるマンガタイプのしつけ 『りんごちゃんと、おひさまの森のなかまたち(1) よい習慣が身につく絵本』 |AERA dot. (アエラドット)

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第16回 人間関係に悩む大人にも通じるマンガタイプのしつけ 『りんごちゃんと、おひさまの森のなかまたち(1) よい習慣が身につく絵本』

文・加賀見徹

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著者 太田知子(おおた・ともこ)東京都生まれ。2児の母。イラスト、マンガを仕事とする。450万部を超える「子育てハッピーアドバイス」シリーズ(1万年堂出版)のイラストを担当。著書に『子育てハッピーたいむ』(1)(2)(3)などがある。ブログ「太田知子の毎日プチハッピー♪ ななとひよこの散歩道」http://happy-moko.tea-nifty.com/『子育てハッピーアドバイス』シリーズ紹介サイトhttp://www.happyadvice.jp/

著者 太田知子(おおた・ともこ)
東京都生まれ。2児の母。イラスト、マンガを仕事とする。450万部を超える「子育てハッピーアドバイス」シリーズ(1万年堂出版)のイラストを担当。著書に『子育てハッピーたいむ』(1)(2)(3)などがある。
ブログ「太田知子の毎日プチハッピー♪ ななとひよこの散歩道」
http://happy-moko.tea-nifty.com/
『子育てハッピーアドバイス』シリーズ紹介サイト
http://www.happyadvice.jp/

『りんごちゃんと、おひさまの森のなかまたち(1) よい習慣が身につく絵本』監修者:明橋大二(あけはし・だいじ)心療内科医、スクールカウンセラー、真生会富山病院心療内科部長著者:太田知子

『りんごちゃんと、おひさまの森のなかまたち(1) よい習慣が身につく絵本』
監修者:明橋大二(あけはし・だいじ)

心療内科医、スクールカウンセラー、真生会富山病院心療内科部長
著者:太田知子

 あいさつ、笑顔、親切、社会のルールなどの大切なことが楽しく学べる『りんごちゃんと、おひさまの森のなかまたち(1) よい習慣が身につく絵本』(1万年堂出版)が今、人気を集めている。この本は「子育てハッピーアドバイス」シリーズのイラストレーターとして、多くのファンをもつ著者の太田知子さんが、自身の子育ての経験から子どもたちに身につけさせたいこと、伝えたいことをマンガに描きためてきたものである。
 「一日のはじまりは、『おはよう』のげんきなあいさつから!」「がんばれえがお。ニコニコすれば、もっとなかよくなれる!」など八つのお話から、森の動物たちの人気者で小学1年生の森山りんごちゃん、クールをきどるアヒルで女の子の笑顔に弱いニールくんなど、おひさま村の個性豊かな森の動物たちと一緒に学ぶことができる。

■大切なのはお母さんの笑顔

 「なるべく押し付けがましくしたくなかったのです。登場する動物たちの関係の中から、共感しながら学んでいけることがよい方法かと思います」と言う太田さんに話を聞いた。子ども向けの絵本だが、一番読んでほしいのは大人だという。まず大人である親が理解・実行し、安心して過ごせる楽しい家庭であれば、子どもはその姿を見ていてできるようになっていくのだ。言っていいことやしてはいけないこと、されたらうれしいことなどを。昔は祖父母との同居や近所の付き合いが多く、地域で子どもを育て、子ども同士でもルールを学び自己肯定感が育まれていた。しかし、今は真心や親切をわかるように教える機会が少なく、全て親、特に母親の負担になっている。インターネットなどからの情報で「教えなければ」「しつけなければ」と焦ってしまうことが多いのだ。
 さまざまなことがいわれているが、太田さんは、子育てで大切なことはとてもシンプルで、それは、お母さんの笑顔だと考える。太田さんのある知人は、子どもの頃、母親との関係があまりうまくいかず、精神的に不安定になり、時々泣いていることがあった。その彼女に、お母さんにどうしてほしかったかと聞くと「笑顔でいてほしかった。お母さんが笑顔だったら、それだけでよかった」と話したという。それさえあれば、あいさつや優しい言葉は後からついてくるものだ。
 自己肯定感が低い子どもたちに最も届く言葉は「ありがとう」である。そう言われると、今まで自分に価値がないなどと思っていた子どもの顔が輝くのだ。「私(僕)でも役に立つことがあるんだ、喜んでもらえることがあったんだ」と。人に感謝されることのうれしさが、幸せと感じることにもつながっていく。

■あいさつ、笑顔、親切

 この絵本は、幼稚園年長児以上を対象にした人間関係の本だ。その第一歩が親子関係であり、幸せに生きるために大切なあいさつや笑顔、思いやりなどがテーマになっている。保育園、幼稚園の教室に置かれ、園からの卒園記念として贈られることもあるという。そして、親はもちろんのこと、祖父母から孫のために購入するケースが多く、1巻目と2巻目を合わせ、現在の発行部数は11万部になる。
 母親の笑顔は、家庭を明るくする。そして、家族で一緒に食事をしたり遊んだり、ごく普通のことを楽しみながらすることで、子どもの自己肯定感が育まれていく。決して難しいことをするのではない。本来、子育てはシンプルなもの。親子で一緒に楽しく過ごせば、それだけでも十分なのだ。「笑う門には福来たる」である。また、この本は読んで終わりではなく、実際にやってみた人が得をする。親切にした人が皆から愛されて幸せにもなれる。世の中はそのようになっている、ということを伝えたいのだという。
 「人にしんせつしてみよう。こころがワクワクうれしくなるね」。あいさつ、笑顔、親切――。人として大切なことが美しい色彩で展開される物語は、子どもの顔が明るく輝くに違いない。人間関係に悩む大人にも十分通じる、マンガタイプのしつけ絵本である。(朝日新聞デジタル &M編集部 加賀見 徹)


『sesame』2015年7月号(2015年6月5日発売)より
http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=17101



(更新 2015/6/ 8 )


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加賀見徹(かがみ・とおる)

 東京都生まれ。朝日新聞社 デジタル本部『朝日新聞デジタル &』編集部所属。監修・著書に『スタイリストになるための練習問題100』(雷鳥社)がある。2012年より『sesame』(朝日新聞出版)で「親子で読みたい本」を連載中。人・物愛好家。幼児教育研究中

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