少しばかりの菜園いじりを趣味としている私。昨年の9月、畑に行ってびっくりした。エンドウマメのネットに子が引っ掛かっている。ネットが体に巻き付き、はりつけにされたような格好で鳴いていた。
 見て見ぬふりも考えたが、このままでは死ぬ。私が助けないで誰が助ける?
 ネットを切り刻んで猫を救出すると、早速病院へ。 左前脚と右後ろ脚にはネットによる擦り傷があり、骨も折れているとのこと。しかし生後まだ2週間でギプスもできないと言われ、化膿止めの薬と猫用ミルクと哺乳瓶を購入。そして段ボール箱で猫用の寝室を作り、私の猫育てが始まった。
 まず、3時間おきのミルク。でも、夜は私が寝るからほったらかし。私が半日出かけた時は、帰宅後、しがみついてきたなぁ……。
 便秘がちな子猫のため、お湯で温めた布でお尻周辺をマッサージし、下痢で汚れるとバケツ風呂に入れる……毎日がこの調子だったが、何とか元気に育った。
 私や主人を見ると、ジャンプして肩まで上がる。少しでも猫缶を開ける音がしたら、大急ぎで餌箱の前に座る。動く物を見ると猛ダッシュ。かくして、生後半年にして捕獲したネズミは3匹。これも生後2週間で親猫とはぐれ、1匹で生き抜く決心をしたためか?
 彼は、とにもかくにも丈夫でたくましく、でも時にはご近所さんにも愛嬌をふりまく可愛い猫になりました(写真)。
 名前は、麦のようにたくましくという意味でムギ。
 けがのため右後ろ脚の指がなく、左前脚が少し曲がっていますが、窓から脱走して塀の上を元気に散歩。時には、犬から逃げるため木登りも。たくましさと人懐っこさで、子どものいない私たち夫婦を癒やしてちょうだいね。私もおいしい猫缶、サービスすっからね。

(村上順子さん 広島県/46歳/主婦)

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