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第47回 よけいな一言を言わない

文・大谷由里子

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マンガ/上大岡トメ

マンガ/上大岡トメ

 わたしの著書に「よけいな一言ハンドブック」(中経の文庫/KADOKAWA)がある。意外とこれが売れている。

 そして、わたしの仲間は、

「大谷さん、これ、自分のために書いたの?」と、ツッコミを入れてくる。

 ほんま、その通りかもしれない。

 わたしも、悪気はないけれど、よけいな一言が多い。

 言ってから反省することもよくある。

 たとえば、可愛い女の子に、「彼氏いないの?」とか、気が利かない男の子に「そんなことしてるから彼女できないんじゃない」とか、つい言ってしまう。

 おせっかいもいいとこ。

 ありがたいことに、わたしの周囲の人間は、「ほっといてくださいよ」とか、「誰か紹介してくださいよ」とか切り返してくれるから救われているものの、一歩間違えばセクハラにだってなりかねない。

 そして、人の価値観はいろいろだということ。

 自分の価値観で物を見ていると相手に嫌な思いをさせたりする。

 わかっていてもやってしまうからこそ、わかって、意識していることが大切だと思っている。

 わたしの友人の夫は、リストラされてから働いていない。

 彼女が稼いで家庭を支えている。

 そんな彼女の夫に対して、「ヒモじゃん」という人もいれば、「よく我慢しているよね」と言う人もいる。

 でも、彼女は、

「わたしは、彼が家でごはん作って、洗濯してくれていて嬉しいんだよね。けっこう幸せなんだけれど、世間は、そう思ってくれないみたい」

 と笑っている。

 わたしの友人の子どもは引きこもった。

 高校も何度も中退した。

 やっと、働き出したものの、世間の人は、「大変だよね」「他の子供に迷惑かけないといいよね」などと言う。

 でも、彼女は、

「その子が、とっても可愛いんだよね。彼のおかげて、世の中のいろんなお母さんの気持ちがわかって、悩み相談もしてあげられるようになったし……」

 と笑っている。


(更新 2016/1/12 )


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プロフィール

大谷由里子(おおたに・ゆりこ)

 1963年奈良県生まれ。京都ノートルダム女子大学を卒業後、吉本興業に入社。故・横山やすし氏のマネージャーを務め、宮川大助・花子、若井こずえ・みどりなどを売りだし注目を集める。2003年、研修会社の志縁塾を設立。「笑い」を取り入れた「人材育成研修」は、NHKスペシャルなど多くのメディアで話題となっている。 現在は、年間300を超える講演・研修をプロデュース中。主な著書に『仕事で大事なルールは吉本興業で学んだ』(こう書房)、『はじめて講師を頼まれたら読む本』(中経出版)など多数。