マンガ/上大岡トメ
マンガ/上大岡トメ

 わたしの著書に「よけいな一言ハンドブック」(中経の文庫/KADOKAWA)がある。意外とこれが売れている。

 そして、わたしの仲間は、

「大谷さん、これ、自分のために書いたの?」と、ツッコミを入れてくる。

 ほんま、その通りかもしれない。

 わたしも、悪気はないけれど、よけいな一言が多い。

 言ってから反省することもよくある。

 たとえば、可愛い女の子に、「彼氏いないの?」とか、気が利かない男の子に「そんなことしてるから彼女できないんじゃない」とか、つい言ってしまう。

 おせっかいもいいとこ。

 ありがたいことに、わたしの周囲の人間は、「ほっといてくださいよ」とか、「誰か紹介してくださいよ」とか切り返してくれるから救われているものの、一歩間違えばセクハラにだってなりかねない。

 そして、人の価値観はいろいろだということ。

 自分の価値観で物を見ていると相手に嫌な思いをさせたりする。

 わかっていてもやってしまうからこそ、わかって、意識していることが大切だと思っている。

 わたしの友人の夫は、リストラされてから働いていない。

 彼女が稼いで家庭を支えている。

 そんな彼女の夫に対して、「ヒモじゃん」という人もいれば、「よく我慢しているよね」と言う人もいる。

 でも、彼女は、

「わたしは、彼が家でごはん作って、洗濯してくれていて嬉しいんだよね。けっこう幸せなんだけれど、世間は、そう思ってくれないみたい」

 と笑っている。

 わたしの友人の子どもは引きこもった。

 高校も何度も中退した。

 やっと、働き出したものの、世間の人は、「大変だよね」「他の子供に迷惑かけないといいよね」などと言う。

 でも、彼女は、

「その子が、とっても可愛いんだよね。彼のおかげて、世の中のいろんなお母さんの気持ちがわかって、悩み相談もしてあげられるようになったし……」

 と笑っている。

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