島民が、

「ゲートボール場もいらない」

「島の未来のために、予算を使って欲しい」

 そう言った。

 島は、高校の存続の危機の中にあった。

 高校がなくなればどうなるか。

 高校生が島からいなくなるだけじゃない。子どもたちと一緒に両親も島を出て行く可能性もある。

 島に残されるのは、年寄りだけ。定期航路も減る。

 すると島は、どんどん衰退する。

 島の存続をかけて、魅力ある高校づくりをした。

 そして、今、「島留学」で島を盛り上げている。

 ここだけ言うと簡単かもしれない。

 でも、担当者の話を聴けば聴くほど、簡単じゃなかった歴史もある。

 島と県との確執。理想論と現実との格差。

 それでも、実現したのはなぜか。

 やっぱり、そこにあったのは、「志」だった。

「島を守りたい」

「島に誇りを持ちたい」

「島の高校生に夢と希望と未来を与えたい」

 そんな思いと「志」が、今の海士町になった。

 そして今は、離島の地域活性の見本になった。大臣をはじめ、この島の視察が後を絶たない。

 なのに、担当者メンバーは言う。

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