たしかにそうかもしれない。

 なんとなく、残りの人生の長さが想像できるようになる。

 そして、いつか「終わり」が来ることが、すごく現実的になる。

 50歳を過ぎた時、わたしは、大切な仲間を2人亡くした。

 どちらも、わたしよりも年下で、彼らには、わたしよりも限りない未来があると信じていた。

 ひとりは、人気カウンセラーで、本もベストセラー。

 孫もできたところで、彼みたいな人が、たくさんの悩むメンバーを救うと信じていた。

 そんな彼は、セミナーの最中に倒れて、そのまま帰らぬ人となった。

 その彼のセミナーに参加していたメンバーから聞いた話によると、彼の最後の言葉は、

「あきらめたらあかん」

 だったらしい。

 もうひとりも、熱い男性だった。

 商社で働いていて、中国との貿易を担当していた。

「もっと、日中の架橋になりたい」

 と、商社を辞めて、飲食のチェーン店に転職。

 中国で、彼が担当した店の立ち上げを成功させた。

 そして、日本に休みで戻ってきて、スキー場で行方不明になった。春先に遺体で見つかった。

 2人とも、その数日前まで、わたしも含めて仲間とフェイスブックでやりとりしていた。

 2人とも、その数日後に自分たちがこの世界からいなくなるなんて、ぜったいに思っていなかった。

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