マンガ/上大岡トメ
マンガ/上大岡トメ

「もうすぐ定年です」

「この仕事もこれが最後です」

 そんな言葉、20代、30代の時には想像もしなかった。

 わたしだけじゃない。わたしの周囲の人からもそんな言葉を想像もできなかった。

 でも、最近は違う。これらの言葉は、とっても身近になった。

 そして、仲間と飲んでいても、これらの言葉が飛び交うようになった。

「僕たちも、あと数年で定年だよなあ」

「このビルが建つ頃には、もう会社にいないんだよなあ」

 なんとなく寂しいけれど、それも事実。何よりも、

「いつまで生きられるのだろう」

 と、いう話になる時、「終わり」を否応なく意識させられる。

 40歳を超えた時、仲間のひとりが言った。

「30歳の時、40歳を想像できなかったけれど、40歳って、50歳が想像できるよなあ」

 みんなうなずいた。

「なんでだろう」

 と、思った。

 すると、他の仲間で言った。

「マラソンをしているとわかるよ。折り返したら、距離がわかるからだよ」

 みんな納得した。

次のページ