彼女は、大ぞの千恵子さんという。わたしよりも10歳年上。

 わたしが30代で彼女が40代の時だった。

 彼女とわたしは、よく一緒に遊んだ。旅行に行ったり、お酒を飲みに行ったり、有名な人の講演会に行ったりした。

 そして、彼女はよくわたしにごちそうしてくれた。そんな彼女に、

「いつも、ごちそうになってすみません」

 と、言ったとき、笑いながら、こんな言葉が返ってきた。

「何歳になっても、一緒に遊んでくれる人がいるって、財産だよ。人間、年齢を重ねれば重ねるほど遊んでくれる人の幅が狭くるの。あなたみたいに年下でわたしと遊んでくれる人は、大切にしなきゃ」

 その時は、「そんなものかなあ」と、思ったけれど、今になると、彼女のその言葉がすごく分かる。

 同年代や年上で遊んでくれる人はいる。だけど、年下に遊んでもらうのって、けっこう難しい。

「わたしに合わせてよ」なんて言っている時代じゃない。

 わたしたちが彼らに合わせなければ遊んでもらえない。

 それだけに、彼らからもらえる情報も大きい。

「そんな見方しているんだ」

「そんなものが流行っているんだ」

 とっても勉強になる。

 何よりも、年上とばかり遊んでいると、話題が健康とか病気の話ばかりになる。

 そんな話ばかりしていると、「夢」とか「希望」を忘れそうになる。

「僕、地域を元気にしたいんです」

「もっと、海外を見たいんです」

「映画を作りたいんです」

 と、いう話も聞きたい。

 また、年上の人とばかり遊んでいると、葬式、入院、病気と、遊べなくなる人が増える。

 いずれは自分もその仲間入りをするのかもしれないけれど、せめて自分が元気なうちは、遊べる人が増えるほうが楽しい。

 だからこそ、わたしは、「遊ぶ」ということをとっても大切にしたい。

 遊んでくれる人をいっぱい、大切にしたい。