『かわさきジャズ』グランド・フィナーレ、山下洋輔、大谷康子、三浦一馬、ファジル・サイらが架ける“橋” 〈Billboard JAPAN〉|AERA dot. (アエラドット)

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『かわさきジャズ』グランド・フィナーレ、山下洋輔、大谷康子、三浦一馬、ファジル・サイらが架ける“橋”

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『かわさきジャズ』グランド・フィナーレ、山下洋輔、大谷康子、三浦一馬、ファジル・サイらが架ける“橋”

『かわさきジャズ』グランド・フィナーレ、山下洋輔、大谷康子、三浦一馬、ファジル・サイらが架ける“橋”

 2015年から始まった『かわさきジャズ』は、10日間という長期間にわたって市内各所で広く行われる都市型フェス。今年はグランド・フィナーレ公演が11月20日ミューザ川崎で行われ、3つの豪華な“meets”を切り口に大変な盛り上がりを見せた。


 第1部は「タンゴ meets ジャズ」と題し、若手実力派バンドネオン奏者の三浦一馬が率いるバンドネオン五重奏が登場。「天使の詩」「ブエノスアイレスの夏」など含んだオール・ピアソラの選曲で、クラシックとアルゼンチンタンゴ、そしてジャズに架けられた橋を存分に堪能できるプログラム。神奈川フィルのソロ・コンサートマスターとしても活躍するヴァイオリニスト石田泰尚がメンバーとして登場。その男気溢れるヴィジュアルは健在、斬れ味よく繰り出される演奏は抜群の存在感で注目を集めた。最後は誰もが知る名曲「リベル・タンゴ」が登場し、客席も熱くなったステージであった。


 第2部「クラシック meets ジャズ」は、クラシックピアニストとして名高く、また作曲家でもあるファジル・サイのソロ・ステージ。海外ではジャズフェスにも出演するなど、ジャズへの造詣が深いことで知られるサイ。ジャズ・アレンジを加えたモーツァルトの「トルコ行進曲」は有名だ。今回のステージは日本ではなかなか行われないオリジナル曲を中心としたプログラム。一見超絶技巧と思えない軽やかさとウィットさ、クラシックともジャズともポップともつかないサイのオリジナルの世界観は自由さに溢れており、境目に流れる川を舟でたゆたうような、翻弄されるようなステージであった。


 第3部の「ジャズ meets ジャパン」では、ジャズ界の巨匠・山下洋輔が登場。共演者には当然ジャズプレイヤーが現れるかと思いきや、正統派クラシック・ヴァイオリニストとして去年デビュー40周年を迎えた大谷康子が登場。ピンヒール・ブーツに黒のショート・パンツにカラフルなトップスという出で立ちでクラシカルなイメージを覆し、客席を驚かせる。そしてオープニングはアンコール定番曲「Take a Train」から始まり、山下の足音に合わせて大谷が飛び跳ねるようにリズムを合わせ、両者がお互いのフィールド語法で自由に即興を繰り出す様は、まさに「架けられた橋の上」という様相でトップ・スピードの盛り上がりを見せた。その後続いた山下のメロディアスなオリジナル曲では大谷の柔らかいヴィヴラートが会場を満たし、そしてスペシャルゲストとして能楽囃子大倉流大鼓の大倉正之助が登場。邦楽独特の間、合いの手である掛け声と、山下のジャズ、そして大谷のクラシックな即興カデンツが入り混じり、「架けられた橋」で自由に舞い踊るプレーヤーたちに圧倒されるステージとなった。


 最後は、山下、大谷のデュオにバンドネオンの三浦、ウッドベースの黒木が加わったスペシャル・アンコール。名曲「ス・ワンダフル」に続いてノリの良いタンゴの「エル・チョクロ」が始まり、大谷が舞台から降りて客席へ。階段を登って二階席まで近づき盛り上げる大谷につられ、観客も手拍子で応え参加し、自然と笑顔が溢れた、盛大なフィナーレとなった。


 プレ期間から数えると約2ヶ月という長丁場の『かわさきジャズ2016』では、有料公演が12公演、無料公演は25か所で約40公演行われるという多彩な内容となった。様々なジャンルを源流とする“ジャズ”を切り口に、あらゆる「境」に橋を架け、未来へつなげる音楽フェス。来年に架けられる『橋』が待ち遠しくなるグランド・フィナーレとなった。text by yokano


◎公演情報『グランド・フィナーレ ジャズ travels ワールド』
日程:2016年11月20日(日)
会場:ミューザ川崎シンフォニーホール
出演:
【第1部】タンゴ meets ジャズ
三浦一馬(bandoneon)
石田泰尚(vn)
黒木岩寿(cb)
大坪純平(gt)
BABBO(p)
【第2部】クラシック meets ジャズ
ファジル・サイ(p)
【第3部】ジャズ meets ジャパン
山下洋輔(p)
大谷康子(vn)
大倉正之助(大鼓)


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