2月8日の【グラミー賞】の放送中にレコーディング・アカデミーの代表、ニール・ポートナウが、“最新テクノロジーによってアーティストへ公正な支払いを行うこと”を保証するよう議会に求めたことで、著作権改革という複雑な問題に注目が集まった。彼の発言は、ちょうど3日前に米著作権局が提出した250ページにわたる音楽使用許諾報告書の内容を反映したものだった。議会がこの提言の一部を法律に盛り込むかどうかは分からないが、影響はかなり大きい。


【提言1】:原盤と音楽作品使用料の“より公平な基盤”を。現在、レコードレーベルは出版社にくらべ最大12倍ものデジタル・パフォーマンス使用料を得ている。
--勝者と敗者:デジタル・サービスの支払いが増えるため、より公平な使用料とすることは出版社の増収=レーベルの減収を意味する。

【提言2】:“権利を一括化”。つまり、ASCAP(米国作曲家作詞家出版者協会)やBMI(Broadcast Music, Inc.)などの実演権団体を強化したような音楽権利団体を創設し、出版社が機械的および実演の権利許諾を行なう。同様に、インタラクティブなデジタル・サービスは全面的な一括ライセンスを得るため簡略化できる。
--勝者と敗者:全当事者が勝者となる。特に著作権局の提案する包括的統合楽曲データベースが伴った場合だ。

【提言3】:地上波ラジオの録音における公開上演権利を拡張する。これによりレコードレーベルや演奏者はAM/FMの放送から初めて著作権料を得ることになる。
--勝者と敗者:新たな収入源を得るレーベルとアーティストは勝者。新たな著作権料を支払うことになる放送局は敗者。

【提言4】:1972年以前の録音の著作権を連邦政府管理にする。1972年2月15日以前に録音した曲は州法の著作権で保護されている一方、SiriusXMやPandoraのようなネット上のサービスにはその認識がないか、もしくはこれらの録音物に対し著作権料を支払っていない。
--勝者と敗者:レコーディング・アーティストとレーベルは勝者。著作権料の支払いが増えるデジタル・サービスは敗者。しかし全面的に連邦管理となると、アーティストに1972年以前の録音に関する著作権と請求権を終了させる権利を与えてしまうため、レーベルは敗者でもある。