「この本を書いたのは、日本にいいチームができるだけ早く増えてほしいと思ったから」
発売直後、たちまち重版となった『世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法』は、「ニューエリート」が実践している世界標準のチームマネジメントを、日本企業のチームリーダー=マネジャーがどう取り入れたらいいか、グーグルの事例を紹介しながら明解に提案した本だ。その著者で、グーグルのアジア・パシフィック人材開発部門ヘッドを務めていた経営コンサルタントのピョートル・フェリクス・グジバチさんは、こう続ける。
「グーグルはいい会社だし成長し続けてもいる。ただ、そのグーグルといえども常に変わり続けなければいけない」
たとえば、グーグルは「チームのパフォーマンスを高めるマネジャーの特性」を調査・分析する「プロジェクト・オキシジェン」を2009年以来継続している。必要に応じて研修プログラムなどを更新するためだが、18年2月にその新バージョンが公式ウェブサイト「Google re:Work」で全世界に向けて発信された。その戦略とは? ピョートルさんに解説してもらった。
* * *
グーグルは「優れたマネジャーの行動の要件」を8項目から10項目に増やしました。以前の8項目は、
(1)よいコーチである
(2)チームを勢いづけて、マイクロマネジメント(チームのメンバーに対する過度な監督・干渉)はしない
(3)チームのメンバーが健康に過ごすこと、成果を上げることに強い関心を持っている
(4)生産的で成果主義である
(5)チーム内のよき聞き手であり、メンバーと活発にコミュニケーションしている
(6)チームのメンバーのキャリア形成を手助けしている
(7)チームのためのはっきりとしたビジョンや戦略を持っている
(8)チームのメンバーにアドバイスできる専門的技術・知識を持っている
それに下記の新しい要件が2つ加わったわけです。
(9)グーグルの中で縦割りを越えたコラボレーションをしている
(10)強い意思決定ができる