一方、被災地には大勢のボランティアが訪れている。全国社会福祉協議会(全社協)によると、14日からの3連休で集まったのは約4万人。だが、それでもマンパワーは足りていない。

 愛媛県宇和島市吉田町では、複数の山あいの集落が土石流で流された。ミカン農家を営む井東勝さん(76)は、一家5人が隣家へ避難している間に水が押し寄せて自宅が全壊した。流木や岩が家の中に大量に入り込む状態のなか、連休中に泥出しを一人でしていた。

「高校生がボランティアに来てくれましたが、学校の野球の試合があるために今日は来られず、一人でやっています。片づけるには人手が足りていないし、水も来ていないから洗えない。そもそも重機がないととても全部は片付けられません」 
 
 町の中では自衛隊が重機を使って復旧作業をしているが、道路が優先で民家までは手が回らない。個人が小型重機を使って片付けできるのはごく一部だ。

 死者10人を出した広島県呉市の天応地区のように住宅が屋根近くまで砂で埋まってしまった地区では、個人が掘り出すのは無理。「行政が対応することになりますが、まだ二人の行方不明者の捜索に力を注いでいるところなので、復旧の計画を含めて未定」(呉市危機管理課)と言う。

 家の中に入れるようになるまでには長い期間がかかりそうだが、そのときに大勢のボランティアの力が必要だ。

 せっかくボランティアに訪れても、連日の35度を超える猛暑から熱中症で倒れるケースが相次いでいる。この連休中に熱中症の疑いで救急搬送された被災者やボランティアは連日100人を越えた。そのうえ乾いた泥や砂が風や車の通った後に舞い上がり、マスクがないと吸い込んでしまう。

 ボランティアとして被災地に入る際に気を付けることは何か。全社協では「スムーズな活動をするためにもできれば事前にボランティア保険に入り、また熱中症予防のためには現地でこまめな水分補給を欠かさないで欲しい」と話す。保険は350円からある。

 また、報道されたところに多くの人が集まる傾向にあるが、ボランティアが必要とされている場所は他にもたくさんあるため、「まず自宅の近い場所で募集していないかを探す努力をしてほしい」と呼び掛けている。(ジャーナリスト・桐島瞬)

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