今年で100回の記念大会を迎える全国高校野球選手権大会。春に行われた選抜高校野球も90回の記念大会であり、まさに高校野球にとってはメモリアルイヤーと言える。これまでも甲子園を舞台に多くの高校が名勝負を繰り広げてきたが、勢力図は時代とともに変化している。そして、その象徴的な出来事が一昨年起こった。7度の甲子園優勝(歴代2位タイ)、甲子園通算96勝(歴代3位)を誇るPL学園(大阪)が2016年の夏の選手権大会を最後に休部となったのだ。桑田真澄、清原和博の『KKコンビ』など多くのプロ野球選手も輩出した名門の休部は一つの時代の終わりを感じさせるものだった。
休部の原因は度重なる部内での不祥事が原因と言われているが、成績面でも同じ地区の大阪桐蔭、履正社に押され2009年を最後に甲子園出場からも遠ざかっていた。そしてPL学園以外にも休部に追い込まれるまでではないものの、かつて栄華を誇りながらも現在苦しんでいるチームは少なくない。今回はそんな『古豪』の現状を紹介する。
PL学園と並び歴代2位タイの7度の甲子園優勝を誇るのが松山商(愛媛)と広島商(広島)だ。松山商は選手権大会で中京大中京(愛知)に次ぐ歴代2位の通算60勝をマークしており、夏にめっぽう強いことから『夏将軍』の異名をとった四国を代表する名門チームである。第51回大会選手権では太田幸司(元近鉄など)を擁する三沢(青森)と延長18回引き分け再試合の熱戦を制し、第78回大会選手権の熊本工(熊本)との決勝戦では延長10回裏に途中出場したライトの矢野勝嗣が『奇跡のバックホーム』でサヨナラ負けを阻止するなど多くの名勝負を演じてきた。
しかし、そんな松山商が最後に甲子園出場を果たしたのは2001年夏の第83回大会であり、それ以降16年間聖地から遠ざかっている。勝てなくなった理由として大きいのが、他校の台頭だ。愛媛はもともと松山商以外にも今治西、西条などの公立校が優勢だったが、近年では済美、松山聖陵などの私立校が力をつけてきており、その壁をなかなか打ち破れないでいる。2009年夏にはチームの再建を目指して初めて同校以外のOBでライバル校の今治西出身である重澤和史監督が就任し、2012年、2017年の春季県大会では決勝進出を果たしているが、今年の春は県大会の1回戦で宇和・北宇和・三瓶の3校連合チームに敗れるなど苦しい戦いが続いている。