監督を代えないリスクより代えるリスクを取ったと田嶋会長は主張する。確かに協会としてはリスクを取って大きな賭けに出たわけで、前代未聞の人事で醜態をさらすようなことになっても決断したということは苦渋の思いがあったかもしれない。

 ただ、選手の信頼やコミュニケーションを監督の評価基準にしてしまうぐらいなら、まだE-1や親善試合の結果に評価基準を設けて、それを満たせなかったら解任とした方が明確だった。

 とにかく解任は決まってしまった。“ハリルジャパン”としてロシアW杯を検証するチャンス、結果がどうあれ3年間の集大成を見るチャンスを協会トップの人間が断ってしまったわけだが、それでも日本代表がロシアW杯を戦うことに変わりはない。ポジティブな面としては内部昇格という形で就任した西野監督が“ハリルジャパン”の根っこの部分は引き継ぎ、そこに選手の特徴に合った変更を加えていく中で、チームの雰囲気は良くなるかもしれない。

 日本人監督で世界に挑む中で得る経験もあれば、一致団結して成功を掴む可能性もゼロではない。しかし、“ハリルジャパン”の中でのしがらみを乗り越えた先にある風景というものは霧散してしまったことに変わりはない。あとは“ハリルジャパン”を経験してきた選手たちが成功を掴んだ時に、前体制の否定ではなく礎として振り返ることができれば、無駄ではなかったということになる。(文・河治良幸)

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