いい加減な社長がやってる会社もあるし、いい加減な社員がいることも確かにあります。それが理由で独立する人もいますし、それが悪いわけじゃないんですよね。でもタレントが知らないところで、いろんな人物の協力があって仕事をしているわけです。

 大手企業を辞めて一人で起業するって言っても、元の会社には「得意先を持っていくのかお前!」って話にもなりますし、営業先の人間関係も一から全部つくらないといけなかったりしますよね。芸能も人と人とが仕事をしていますから、それと一緒で、裏にある営業やマネジメントで信頼できる人を雇うなり自分できちんとやらなきゃいけないですよってことです。

 それと、何より円満退社がいいですよね。誰かが怒っちゃうと気分も悪いし、その後やりにくくなることもありますから。

 自分一人でガンガン出世しているならまだしも、芸能の仕事は色んな人に手助けしてもらって、色んな人と仕事をするわけですから、マネジメントのプロでもいて、例えばギャラの交渉とかタレントはやらないし、相場なんかも知りませんからね。だから自分の個人事務所を作るとなると、商売の才能が必要なんだと思います。いろいろな法律も芸能村のルールも知って、守りながらやらないといけないかもしれないですよね。

 副業のために会社を作る人もいますが、事務所によっては副業OKのところもあるし、全く芸能の仕事と関係なくても何割か会社に納めるところもあります。例えば僕がラーメン屋をやりたいって言ったら、サンミュージックの場合は「関係ないからどうぞやってください」なんですよ。でも、会社によっては「”竹山の”ラーメン屋なんだから少し金払えよ」ってところもある。竹山という商品を作ったのはどこだ?ってことになるわけです。それぞれの会社の考えによって違うんです。本の出版とか、趣味の絵の個展とか、何でも。

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ハワイのかき氷屋、会社の取り分は?