確定申告の受け付け初日を迎えた2月16日、納税者の怒りが爆発した。
言うまでもなくその矛先は、学校法人「森友学園」の国有地売却に関する問題で、国会で虚偽答弁をした疑惑を持たれている佐川宣寿国税庁長官(前財務省理財局長)だ。財務省は今年1月、交渉に関する資料を新たに公開したが、佐川氏は一連の書類は「廃棄した」と述べていた。
徴税を司るトップの国税庁長官の虚偽答弁疑惑に、納税者も黙ってはいなかった。東京では、確定申告初日に合わせて「納税者一揆」を呼びかける抗議集会とデモが企画され、国税庁のある財務省前に1500人が集結した(主催者発表)。デモでは「佐川を罷免しろ」「安倍昭恵は国会に出てこい」などといったコールとともに、東京駅近くの鍛冶橋まで行進した。掲げられたプラカードには、「佐川さん。国民に説明を」「昭恵さんに会いたい 国会に来てね」と、真実の証言を求めるものが目立った。
平日昼の開催だったため参加者にはシニア世代が目立ったものの、埼玉県から来たという30代の男性も。「デモに参加するのははじめて」と言いながら、こう話した。
「納税者には書類を出せと言うのに、自分たちは公文書を捨てても問題ないなんて許せない。納得がいかないことばかりで、ふざけている」
また、デモに先立ち、野党の国会議員が佐川長官への面会を求めて国税庁をたずねた。だが、担当職員から「長官は公務で各税務署を回っている」と回答され、会うことはできなかったという。面会を求めた社民党の福島瑞穂参院議員は「私たちはこれからも佐川長官への面会を求めていく」と話した。
デモの発起人の一人で、主催者の市民団体「森友・加計問題の幕引きを許さない市民の会」の醍醐聰・東京大学名誉教授は言う。
「安倍晋三首相や麻生太郎財務相は、佐川氏について『適材適所』と述べていますが、彼らにとっての『適材適所』とは、『政権へのダメージを防いでくれる人』という意味です。この日、東京だけではなく札幌や大阪、福岡など9つの都市で佐川氏の罷免を求めるデモや集会が開かれました。今後も抗議活動は続けていく」