和田さんは「女子会」やインターネットで集めた声から、生地選びやデザインに試行錯誤を重ね、いまではシャツやワンピース、ジャケットなどシンプルでシーンを選ばないアイテムをインターネットで販売している。その人気は「リピーターが6割を占める」ほどで、今月下旬から、パルコ池袋店でポップアップショップの出店も決まった。

■胸が大きい女性の悩みを解決したい

 ブランド設立の原動力は、自身の経験にあった。

 大学でいじめを受け、入学から3カ月で不登校になった。いじめられた原因は自分にあると思い込み、「人目が気になって、怖くて仕方がなくなった」。次第に自分の外見に執着していき、毎朝2時間は、化粧をしては落とすことを繰り返すように。クロゼットに入っているのはどれも胸元が開きすぎていたり、着るとスカートが短くなったり、太って見えたりする服ばかりで、部屋に引きこもっていった。

「着ていく服がない。そんな小さなことですが、足止めになっていたんです」(和田さん)

 しばらくして仕事に就いたが、小さなころから漠然と描いていた起業という夢を叶えたいと思うようになった。それなら、自分と同じ悩みを持つ人たちの背中を押せるようなことができないか――。

 最初は海外ブランドのセレクトショップを開くことを考え、バスト90センチ以上の服をインターネットで買いあさったが、フィットする服を探すのが難しかった。そもそもアジア人の平面的な体形と欧米人の円柱状の体形が違うことに加え、色使いやデザインも日本人の感覚からすると派手すぎた。そして、同じ会社の同じサイズ表記の服でも、同じようにフィットするとは限らない。季節感やトレンドを求めると、購入から手元に届くまでに時間がかかるのもネックだった。

「それなら自分で物を作ろうということになったんです」(和田さん)

■シャツだけで9回直し

 解決したい悩みは山のようにあった。大量生産の既製服では、胸の部分に生地が持っていかれ着丈が短くなり、着丈に合わせて大きいサイズを買うと、今度は腰回りの生地が余って、太って見えてしまう。ほかにも、胸元のボタンの間が広がって横から下着が見えてしまったり、ボタンが取れてしまったりすることもあった。

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胸を張って生きていくための工夫