ダルビッシュの去就ははたして…(写真・Getty images)
ダルビッシュの去就ははたして…(写真・Getty images)

 メジャーリーグのダイナミックなプレーに魅せられるとともに、トッププレーヤーたちが受け取る年俸の高さに度肝を抜かれるファンは多いだろう。

 昨季は1位のクレイトン・カーショウ(ドジャース)が年俸3300万ドル、2位のザック・グレインキー(ダイヤモンドバックス)が同3190万ドル、3位のデビッド・プライスが同3000万ドルと、いわゆる“3000万ドルプレーヤー”が3人も存在した。

 その他、年俸2000万ドル以上の選手は33人もおり、たった3年前と比べてもその数は15人も増加。選手のサラリー高騰は続いており、史上初の4000万ドルプレーヤーが生まれる日も近いだろう。

 なぜこれほどの高給取りが生まれてきたかと言えば、最大の理由はTVマネーに他ならない。2014年にMLBがFOX、TBS、ESPNと124億ドルの契約を結び、その分配金が全30チームの懐に飛び込んでくる。それだけでなく、近年は各チームがそれぞれローカルテレビ局と独自の放映権契約を締結し、この金額が高騰してきたのだ。

 ドジャースが2013年にタイムワーナーと25年で総額83億5000万ドルという途方もない契約を結んだのがニュースになったが、巨額の放映権料を手にしたのは西海岸の名門チームだけではない。

 東の金満チームであるヤンキース(30年で57億ドル)はもちろん、エンゼルス(20年で30億ドル)、レンジャーズ(20年で16億ドル)、マリナーズ(18年で18億ドル)、ダイヤモンドバックス(20年で15億ドル)、カージナルス(15年で10億ドル)、フィリーズ(25年で25億ドル)、アストロズ(20年で16億ドル)といった多くの球団が2012年以降に地元テレビと新契約を更新してきた。

 今後10年以上にも渡って毎年1億ドルかそれに近い放映権料を受け取る球団が増えているのであれば、選手補強に大枚を叩くチームが増加しているのは理解できる。

 もともとメジャーリーグには、サラリーキャップ(チーム総年俸の上限)が存在しない。一定の基準を超えたチームには贅沢税が課されるが、それを払う気があるチームには制限はない。そんなシステムを考えれば、一部のスーパースターの値段が跳ね上がってしまうのは当然なのだろう。

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年俸高騰の流れに“異変”も