歌舞伎の「見得(みえ)」というポーズは、不動明王の表情から生まれたもので、「不動の見得」は市川家だけに許されたお家芸として知られるほか、團十郎の「にらみ」は厄除けに効くとして歌舞伎見物に訪れる客もいたのだとか。また、團十郎十八番(おはこ)の演目には、数々のお不動さま由来のものが取り入れられている。

●出世稲荷は名刺が必携

 新勝寺の境内は広い。仁王門や額堂、三重塔、釈迦堂、光明堂など江戸時代に作られた建築物は重要文化財に指定されているし、護摩祈祷の不動明王、恋愛成就の愛染明王などご利益も多い。中でも出世稲荷はお不動さまに次ぐ人気で、赤い絵馬に持参した名刺を貼り付けるというちょっと変わった祈願方法で知られている。

 また、現在の深川不動堂は、この出開帳の場所に建立されたお堂である。今では大阪・名古屋など全国に別院や分院が作られるほど、成田山のお不動さま人気は不動のものとなった。成田が遠い人も近くに別・分院をすぐに見つけられるだろう。

 成田山新勝寺では、7月7~9日に「成田山祇園会・祇園祭」が行われる。この日だけ奥の院(光明堂後ろにある洞窟)が開扉され、御輿(みこし)や山車、屋台が巡行する成田市の夏の風物詩である。当然であるが、奥の院横の一等席に今年も「市川海老蔵」の名を記した行灯(あんどん)が出ていた。十三代目の團十郎の名が境内に刻まれる日も近いに違いない。(文・写真:『東京のパワースポットを歩く』・鈴子)

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