今年3月時点で受給者は210万8千人、今年度の支給額は3兆7千億円という見通しの生活保護。投資助言会社「フジマキ・ジャパン」の代表を務める藤巻健史氏は、そんな現状に支給基準の甘さを指摘する。
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戦後の混乱期の受給者は200万人を超え、いまと同水準だそうだ。戦後の200万人という水準は感覚的によくわかる。生活が苦しく、生活保護がなければ餓死する人さえいたと思われるからだ。いまも戦後と同じくらいの数の貧乏な人が日本にいるということなのだろうか?
たしかに格差論議で学者先生が盛んに使っていたジニ係数でいえば、日本はOECD(経済協力開発機構)加盟国の中では4番目に貧困率が高い国である。「だから戦後と同じくらいの生活保護受給者がいても当然だ」と言われても私にはしっくりこない。日本には、餓死しそうな人が、ほとんどいないのはもちろん、おっぱいを出して金をせびる母親もいないし、排ガスを浴びながら衆目のなかブルーテントで生活する家族もいない。つまり、いま支給の基準が甘くなりすぎたせいではないだろうか。
「本当に生活できない人たちを助ける」ことは、どういう政治体制を採るにしても国の義務である。しかし生活保護が「豊かになった日本国民は平等に豊かさを享受しなくてはいけない」という趣旨のものなら、日本は間違いなく社会主義国家である。自助努力を放棄した社会主義国家が資本主義国家に負けるのは歴史が証明している。日本経済の低迷は、そんなところにも原因があるのでは?
※週刊朝日 2012年8月31日号