全国大学選手権では今シーズンで8連覇と無敵を誇る帝京大学は、まず大学王座に就き、次のシーズンはそれを守り、さらに挑戦をはねのけ……と連覇を伸ばす中で、自らをさらに高めるためにトップリーグとの対戦を明確な目標として意識するようになり、だからこそ、これだけの戦いができたのだろう。だが、選手が毎シーズン入れ替わる大学チームでそれができるのは、帝京大学のような絶対的な強さがあってこそ。帝京大学を破って大学王座に就くことを目指しながら、ここまで8シーズン、どこもそれを成し遂げられずにいる他の大学に、シーズンを通じて日本選手権でのトップリーグとの対戦を意識したチーム作りを期待するのは無理な話だ。

 帝京大学だけを見れば、日本選手権の大学枠撤廃は強化にとって大きなマイナス。しかし、年明けになってもプレーできる大学チーム(全国大学選手権準決勝進出チーム)が全国で4校だけで、その他は10試合に満たない公式戦だけで年内に早々とシーズン終了という現在の大学ラグビー界においては、そもそも日本選手権の大学枠なぞ無関係という大学がほとんどだろう。

 今回の大学枠撤廃は、大学と社会人が日本一を争うという50年以上続いた伝統を捨てる大改革。そこまで踏み込んだ日本ラグビー協会は、次は伝統の定期戦の日程も聖域化しない大学ラグビー構造の改革を断行する必要がある。目先の代表強化のためにサンウルブズ最優先になりがちな昨今の日本ラグビー界だが、日本ラグビーは2020年以降も続く。将来を担う大学世代の強化は必須であり、そして、急務だ。