日本選手権で優勝し、喜ぶサントリーの選手たち=西畑志朗撮影 (c)朝日新聞社
日本選手権で優勝し、喜ぶサントリーの選手たち=西畑志朗撮影 (c)朝日新聞社

 ラグビーの日本選手権は29日の決勝でサントリーサンゴリアスがパナソニックワイルドナイツを大接戦の末に下し、今シーズン無敗でトップリーグ王座との二冠を達成して閉幕した。

 2016年度の国内シーズンの最後を飾った大会は、半世紀以上続いてきた伝統の構図の終焉を告げる大会にもなった。

 開幕に先駆けて開いた理事会で、日本ラグビー協会は日本選手権の大学枠撤廃を正式決定。2017年度からは、1963年度の第1回から出場してきた大学チームは姿を消し、トップリーグの上位4チームのみが日本一の座を争うことになる。

 日本選手権の大学枠は、1994年度に神戸製鋼が102点を奪って大東文化大学を粉砕し7連覇を達成した時から、もはや日本一を争うための出場枠ではなく、格上の社会人(トップリーグ)チームに挑戦するための枠になったと言える。次世代の日本ラグビーを担う大学生世代の強化のために、この機会を維持すべきだという主張は根強い。今シーズンの大会1回戦で、帝京大学がトップリーグ王者のサントリーと前半は21-21と互角の戦いを演じたことから、その主張が勢いを増したようにもみえる。

 しかし、この試合の結果はむしろ、日本選手権の大学枠を有効活用しうるチームは帝京大学だけ、という大学ラグビー界の現状を示したのではないか。

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