昨年暮れの勢いをそのままに、大幅反発で始まった株式市場。ボーナスなどを元手に「今年こそは投資を始めてみよう」という人も多いのではないだろうか。そこで、速読日本一で速読スクールを経営する傍ら自身も投資家として1日5分のトレードで月数百万円以上の利益を挙げる『速読思考』の著者・角田和将氏と、お金持ち研究の第一人者で『お金持ちはなぜ、「教養」を必死に学ぶのか』著者でもある評論家の加谷珪一氏に注意すべき点を語ってもらった。
■「とりあえず貯金」は悪手
加谷:ボーナスの使い道アンケートを取ると、相変わらず貯金やローンの返済などが、上位を占めますが、お金を儲けるという視点で考えると、余剰のお金を生活費の補てんや貯金に回すのはよくありません。サラリーマンが自分自身を「企業」と見立てれば、生活費は月給で回すのが理想で、ボーナスのような臨時収入は、自分の稼ぐ力を鍛えるための先行投資に回していくべきです。
角田:僕もそう思います。日本人のお金の持ちの9割は貯金のみで、投資経験があるのは1割と言われています。やらない理由として多く挙げられるのは「損をしたくない」ですが、現金や預金でも1万円の価値は相対的に下がっています。その意識なく、お金を動かさないのはまずいのではないでしょうか。たとえば、同じ預金をするなら、その銀行の株を買ったほうが利息よりもはるかに多い配当がもらえます。その金融機関はつぶれないという信頼に基づいて預金をしているのであれば、株を買ったほうが金利も高いし、理にかなっています。それでも怖いという方は半分くらい貯金してもいいかもしれません。お金は稼ぐことより使うことのほうがはるかに難しい。そして使い方を学ぶには、実際にお金を使わないと深い学びは得られない。現金をより価値の上がるものに変えていくことを考えないと、ラットレースのサイクルからは抜け出せないと思います。
■株ほど簡単な投資はない
加谷:投資を始めるなら、とりあえず入門書を買って、週末にでもネット証券で口座を開き、実際に株を買ってみるといいと思います。すると調べなければいけないことがたくさん出てきて、投資家としての流れに乗ることができます。一個でも株を買ってみると、半年後にはニュースを見てもいっぱしの経済評論家のように考えるようになり、口調も評論家のようになっているはずです(笑)。
角田:まずは株を買っちゃえばいい、というのは同意見です。レバレッジの利かない現物株で買うなら大損する可能性はかなり低くなると思います。銘柄の選び方も難しく考える必要はなくて、旅行や出張の移動手段として飛行機によく乗る人なら、JALやANAを買えばいいし、ディズニーランドが好きならオリエンタルランドを買ってみればいい。本来、株式投資はその企業を応援しようというものなので、自動車でもテーマパークでも自社株でも最小単位で買ってみることがおすすめです。そして値が動く感覚を味わうことが大事です。
加谷:そうですね。コンビニに毎日行っているのなら、セブン-イレブンの株を買ってみたらいい。そこでセブンとローソンのドーナツの違いや、商品のラインナップやサービスなど、いろいろ気づくことがある。サラリーマンの方に勤めている会社の自社株を薦めると、だいたい「えーっ?」というネガティブな反応をいただきますが、ご自身が定年までつぶれないと思って勤めているのですから、自社株を買うことは預金よりもよほど経済的合理性が高い。会社の数が数え切れないぐらいあって難しく考えてしまうかもしれませんが、個別株ほど簡単でリスクの少ない投資はないと思います。