いったいどのような人が賃貸を経営しているのか。回答者の約8割は男性、50~60代が6割を占め、40代(18%)、70代(15%)と続いたが、30代も2%とわずかに存在した。大家歴は最も多かったのが10~14年の26%で、次いで5~9年(17%)、15~19年(15%)だった。0~4年と答えた人も12%おり、賃貸経営を始めて間もない人も多いようだ。

 調査結果によると、大家さんが巻き込まれた事件・事故のうち、最も遭遇率が高かったのは、「入居者が家賃滞納で強制退去に」で19.4%に上った。回答者の5人に1人が経験していることとなり、必ずしも安定した家賃収入が得られるわけではないようだ。

 次いで「入居者が夜逃げ、失踪」(9.2%)。前述の事例のような「入居者の部屋の中がゴミ屋敷に」(8.2%)は3番目に多かった。その後は「火事、ボヤ騒ぎが発生」と「入居者が空き巣に入られた」がいずれも同率で7.4%、「入居者が孤独死した」(4.4%)、「入居者が逮捕された」(4.3%)と、当事者になったとしたら頭を抱えてしまう事例が続く。「殺人事件が発生」(0.1%)という恐ろしい回答もあった。

 オーナーズ・スタイルの担当者は「調査結果のグラフに挙がっている以外に、入居者が自己破産してしまった、入居者が契約者と違っていた、反社会的勢力だった、といったケースもありました」とコメントする。

 トラブルへの備えとしては、火災は火災保険、家賃滞納は保証会社を利用する、といった対策がある。また、孤独死が増加傾向にある中、賃貸に入居している高齢者が孤独死した場合、リフォームなどの費用を支払ってもらえる「孤独死保険」も普及し始めているという。

 片付けや分別指導で対策が取れるゴミ問題なら、まだ解決の糸口が見つかりそうだが、孤独死や逮捕、殺人となってくると、まったくいただけない。日々あくせく働く身としてはせん望のまなざしを送ってしまうが、大家さんは、決して「楽な商売」ではなさそうだ。(ライター・南文枝)

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