しかし、怯んではならない。
「出鼻を挫く」。その鉄則を守ることだ。
まずはOA招集が濃厚な塩谷司(広島)を中心に最終ラインを高く保てるか(奈良の故障離脱は損失)。そして走力のあるFW浅野拓磨(広島)らが積極的に追い込み、つなぎを分断し、苛つかせる。その流れで相手を焦らせ、大島僚太(川崎)を起点にショートカウンターに持っていく。日本人は単純なパワーでは劣るが、俊敏な動きを繰り返せる運動能力はアドバンテージとなる。相手は嫌がるはずで、ミスも出やすい。ピンチは川口能活以来のシュートストップ力があるGK中村航輔(柏)が防げるか。
キーマンに挙げたいのは、橋本拳人(FC東京)だ。ボランチ、右サイドバック、センターバックと適応できる身体能力とフットボールIQを持つ。攻守にダイナミズムを感じさせ、外国人相手でも動じない。ゴール前に入るタイミングに優れ、得点力も備える。攻守の大車輪となりうる。鎌田大地(鳥栖)、富樫敬真(横浜FM)も選んで欲しい人材だが、18人のメンバー入りは厳しいか。
日本は「胸を借りる」ような戦いをする必要はない。むしろ、敵を併呑する試合の入り方ができるか。五輪は原則的に、勢いを得た者が勝者となる。
(文・小宮良之)