今もこうして「縦書き5段」になった時に文字たちがページにどんな収まり方をするのかを想定しながら書いているわけですが、実は私の原稿は常に「横書き」です。言うならば「縦書きになった画をデザインしながらの横書き」であり、これがもし「横書きで読まれるための文章」であったら、言葉遣いはおろか、内容すらも大きく変わってくるでしょう。

 そしてその日は刻一刻と近づいてきています。果たしてそれが面白いものなのかどうかは、それこそ読んでみてのお楽しみかと思いますが、5月までは読者の皆さんが、例えば電車に揺られながら、例えば銀行の待合室のソファに座りながら、例えばトイレの便座に腰掛けながら、誌面を手に取り、めくっていった先に私のページがあり、そこで手を止め、目線を上下させ、約5分から10分、ページ左下まで読み進めてくれることを細かに想像して、ネットだったら「長過ぎて途中でやめた」と言われるような文章をお届けできたらなと思っています故、どうかお付き合い頂ければ嬉しい限りです。

ミッツ・マングローブ/1975年、横浜市生まれ。慶應義塾大学卒業後、英国留学を経て2000年にドラァグクイーンとしてデビュー。現在「スポーツ酒場~語り亭~」「5時に夢中!」などのテレビ番組に出演中。音楽ユニット「星屑スキャット」としても活動する

週刊朝日  2023年2月17日号

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